研究課題/領域番号 |
15K11020
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
木村 重信 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (10177917)
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研究分担者 |
根本 優子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10164667)
石河 太知 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (10569247)
佐々木 実 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40187133)
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (90453331)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | SLPI / 感染制御機構 / 歯周病原性細菌 / 組織侵入抑制作用 |
研究実績の概要 |
分泌型白血球プロテアーゼインヒビター,SLPIは粘膜系での病原微生物に対する感染防御を担う自然免疫として機能する生体因子であることが示唆されている. しかし口腔における口腔自然免疫因子としてのSLPIの役割,作用機序については明らかにはされていない.そこで本研究では,SLPIのPorphyromonas gingivalis をはじめとする歯周病原性細菌の組織内侵入に対する抑制作用に注目し,口腔自然免疫SLPIの感染制御機構の詳細を明らかにすることを目的とした. 研究初年度である本年度(平成27年度)は,当初計画に基づき,歯周病原性細菌の上皮バリア突破機序を検討するためのin vitro実験系の作製と,歯肉上皮バリア突破ルートの解明を行った.すなわち,Double-chamberの上部chamberに培養歯肉上皮細胞(Ca9-22細胞)を播種,3日間培養後,抗菌薬を含まない無血清培地に交換した.上部chamberにP. gingivalis ATCC 33277株の菌液を添加し,継時的に上部chamber中に残存する菌量および下部chamberへ通過した菌量をreal-time PCRにより測定した.実験終了後,FITC-dextranを用いて細胞間結合組織の破壊状態についても検討した.その結果,P. gingivalisは歯肉上皮バリアを突破して組織内に侵入し得ることが明らかとなり,その侵入ルートとしては上皮細胞内を通過するルートと上皮細胞間隙を通過するルートの両者が関与することが強く示唆された.これらの結果をもとに,次年度以降,このin vitro実験系を用いてSLPIの感染制御機構の詳細について検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,研究初年度で本研究遂行上必須の,歯周病原性細菌の上皮バリア突破機序を検討するためのin vitro実験系の作製が完了したから.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降,このin vitro実験系を用いてSLPIの感染制御機構の詳細について検討する予定である.さらに,P. gingivalis 以外の歯周病原性細菌の上皮バリア突破機序の特異性についても検討し,SLPIの歯周病原性細菌に対する感染制御機構の詳細を明らかにする.
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