研究課題/領域番号 |
15K11023
|
研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
|
研究分担者 |
村松 敬 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00276982)
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (30410418)
柴山 和子 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60408317)
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453785)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 蜂窩織炎 / 根尖性歯周炎 / 細菌叢 / メタ16S rRNA 解析 / 口腔細菌 / 歯周炎 / バイオフィルム / Quorum sensing |
研究実績の概要 |
根尖病巣・口腔底蜂窩織炎細菌叢のメタ16S rRNA 解析:17 人の患者根尖性歯周炎病巣から吸引によりサンプルを採取し、そこに含まれる細菌DNAから16S rRNAのV1-V2領域を増幅し解析を行った。個々の検体からは最大26592リード、最低で3702リード、平均1204 ± 6915リードであった。Operational taxonomic unit (OTU)としては1人平均55 OTUが検出された。現在サンプルを増やしさらに解析を続行中である。 バイオフィルム形成等についての細菌性相互作用の解析:細菌間のquorum sensingとbiofilm形成を解析する目的で、Capnocytophaga ochraceaを用いバイオフィルム形成とluxSの機能について解析を加えた。C. ochraceaのSprBの欠損では、滑走能が失われていたことから、本菌の滑走性にSprBが関わることを明らかにした。またSprB欠損株では、バイオフィルム形成能が低下していた。、この低下は、typeIX分泌機構(T9SS)を構成するタンパクGldK, SprT欠損株でも認められた。この低下はGldK, SprT欠損株の方がSprB欠損株よりも強くなっていた。さらにバイオフィルムをproteinase K, DNaseI, NaIO4により処理すると、 proteinase K処理したもののバイオフィルムが最も少なくなっていた。このことから、C. ochraceaのバイオフィルム形成には、T9SSにより産生されるタンパク性の物質が基質として関与していることが考えられた。 さらに、バイオフィルム形成時のluxSにより産生されるautoinducer 2 (AI-2)の作用について解析を加えると、C. ochraceaのluxS欠損株では明らかにバイオフィルム形成が低下し、luxSがバイオフィルム形成に関わることが明らかにできた。しかし、luxSの欠損株にC. ochracea野生株の上清を作用させてもバイオフィルム形成能は回復できなかった。これらの結果は、バイオフィルム形成低下はAI-2の欠如ではなく、luxS欠損によるactivated methyl cycleの障害によるものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
根尖病巣・口腔底蜂窩織炎細菌叢のメタ16S rRNA 解析については、サンプル採取が順当に行われ、解析も問題なく進行中である。 バイオフィルム形成等についての細菌性相互作用の解析については、予備となる単独菌の実験で実績を得ることができ、メタ16S rRNA 解析によりえら得た複数菌の解析を開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
1. まず、根尖病巣・口腔底蜂窩織炎細菌叢のメタ16S rRNA 解析によるサンプル解析と結果のまとめをより加速して行い、予定とする解析の80%を本年度中に行う。 2. 本年度後半から根尖病巣・口腔底蜂窩織炎細菌叢のメタ16S rRNA 解析結果に基づき複数菌の組み合わせによるバイオフィルム形成等についての細菌性相互作用の解析を病原性の変化を中心に行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2015年年度末に解析を行うサンプルについて、16S rRNA解析を次年度のはじめにに採取したサンプルの一部と共にまとめてやった方が経費が安くすむため延期したことにより次年度使用額が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
2015年年度末に集めたサンプルと2016年の年度始めに採取したサンプルを合わせて16S rRNA解析を行うのに使用する。
|