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2017 年度 実施状況報告書

頭蓋顔面領域の硬組織形成に関わる多能性幹細胞系譜の解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K11027
研究機関鶴見大学

研究代表者

中島 和久  鶴見大学, 歯学部, 講師 (90252692)

研究分担者 二藤 彰  鶴見大学, 歯学部, 教授 (00240747)
出野 尚  鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (40435699)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード骨芽細胞 / 転写因子
研究実績の概要

頭蓋顔面領域の硬組織形成とその維持は多能性細胞の移動と局在化、予定域局所での細胞増殖、加えて組織特異的な表現型発現の調和のとれた進行により成し遂げられる。骨組織においては、まず転写因子Runx2とRunx2の下流で作用する転写因子Osterix(Osx)をが骨芽細胞分化と骨形成に必要である。両転写因子の発現と機能は膜性骨化と内軟骨性骨化のいずれの骨化過程において必要不可欠である。硬組織形成を担当する細胞の表現型を最終的に決定する転写因子は明らかとなりつつあるものの、その細胞系譜には多くの不明な点がある。マウスの発生においてOsx遺伝子を神経堤細胞にて破壊すると頭蓋顔面領域前部の膜性骨と歯槽骨の形成が抑制されるが、頭頂部と後頭部の膜性骨形成は抑制を受けない。一方、Osx遺伝子を神経堤細胞と間葉系凝集にて破壊すると頭蓋顔面領域前部、頭頂部と後頭部の骨の形成は抑制を受ける。従って、頭蓋顔面領域の骨は単一の祖細胞に由来するのではないと考えられる。
加えて組織形成後の組織構造の維持には骨髄内に局在する多能性幹細胞が深く関わり、ペリサイトがその候補として有力視されている。加えて、神経組織に付随するグリア細胞が歯髄組織の恒常性維持と組織損傷後の修復過程での多能性幹細胞として作動する可能性が報告された。この報告は多能性幹細胞の新たな源泉を示すのみならず、硬組織に張り巡らされた神経組織の生理的意義を再考する必要性を示すと考える。
骨形成におけるグリア細胞の役割を追求する為に、遺伝子改変マウスの解析に先んじて、マウスの骨組織発生における神経線維とグリア細胞の分布変化を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

遺伝子改変マウスの導入がやや遅れている為に、ROSA26RあるいはROSA26YFPなどの蛍光標識マウスを用いた細胞系譜を追求する試みが遅れている。この実験を補い基礎的知見を集積する為に、マウス発生段階における骨形成と神経組織、グリア細胞の分布の変化を検討している。マウスでは胎生12.5日で骨格の原基が形成されて、その2日後には骨形成が明らかになる。この時、長管骨では肥大化軟骨細胞の細胞外基質の分解がおこり、この分解した基質中に侵入して周囲の間葉組織から骨芽細胞が分化する。Osx欠損マウスでではこの侵入した間葉組織から骨芽細胞の分化がみられないことから、一次骨化中心形成開始時の侵入細胞の解析を行う良いモデルとなる。野生型マウスとOsx欠損マウスの一次骨化中心へのペリサイト、神経線維、およびグリア細胞の分布の変化を免疫組織学的手法で検討しているが、特異的な染色を得がたく、抗体の種類と染色方法を検討している。

今後の研究の推進方策

野生型マウスとOsx欠損マウスの一次骨化中心へのペリサイト、神経線維、およびグリア細胞の分布の変化を免疫組織学的手法にて検討をすすめる。

次年度使用額が生じた理由

遺伝子改変マウスの導入がやや遅れている為に、ROSA26RあるいはROSA26YFPなどの蛍光標識マウスを用いた細胞系譜を追求する試みが遅れている。マウスの飼育と管理の費用、ならびに遺伝子改変マウスの解析費用を次年度使用額として計上したい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Annexin A5 involvement in bone overgrowth at the enthesis2018

    • 著者名/発表者名
      Shimada Akemi, Ideno Hisashi, Arai Yoshinori, Komatsu Koichiro, Wada Satoshi, Yamashita Teruhito, Amizuka Norio, Poschl Ernst, Brachvogel Bent, Nakamura Yoshiki, Nakashima Kazuhisa, Mizukami Hiroaki, Ezura Yoichi, Nifuji Akira
    • 雑誌名

      Journal of Bone and Mineral Research

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1002/jbmr.3453

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] H3K9MTase G9a regulates tooth development in mice2017

    • 著者名/発表者名
      Ideno Hisashi, Kamiunten Taichi, Shimada Akemi, Terashima Tatsuo, Nakashima Kazuhisa, Tomooka Yasuhiro, Nakamura Yoshiki, Kimura Hiroshi, Tachibana Makoto, Nifuji Akira
    • 学会等名
      The American Society for Bone and Mineral Research
    • 国際学会
  • [学会発表] Histone methyltransferase G9a is essential for osteoblastic differentiation and skull bone formation during development2017

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Ideno, Koichiro Komatsu, Akemi Shimada, Yoshinori Arai, Kazuhisa Nakashima, Makoto Tachibana, Hiroshi Kimura, Akira Nifuji
    • 学会等名
      The American Society for Cell Biology
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素G9aはマウス歯胚の増殖と分化を制御する2017

    • 著者名/発表者名
      出野尚、上運天太一、島田明美、寺島達夫、中島和久、友岡康弘、中村芳樹、木村宏、立花誠、二藤彰
    • 学会等名
      第35回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] 腱・靭帯付着部(enthesis)においてAnnexin A5は線維軟骨の分化を負に制御する2017

    • 著者名/発表者名
      島田明美、新井嘉則、小松浩一郎、和田悟史、出野尚、中島和久、山下照仁、江面陽一、網塚憲生、中村芳樹、二藤彰
    • 学会等名
      第35回日本骨代謝学会学術集会
  • [学会発表] ヒストンメチル化酵素G9aによる破骨細胞分化制御への関与2017

    • 著者名/発表者名
      小松浩一郎、出野尚、島田明美、中島和久、山下照仁、宇田川信之、二藤彰
    • 学会等名
      第59回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2018-12-17  

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