研究課題
本研究は、歯周病による歯の喪失を防ぐため、間葉系幹細胞(MSCs)の細胞間ミトコンドリア輸送能に基づき、歯周病の治療法を開発することを最終目的としている。平成28年度までの研究によりMSCsや破骨細胞にRhoT1が発現すること、またRhoT1を発現するMSCsの細胞遊走能を調節すると考えられているLow density lopoprotein receptor-related protein 1 (LRP1)を発現することを明らかにした。これらの所見を踏まえ、平成29年度は、MSCsによる損傷を受けた細胞の認識とRhoT1の発現の相互関係を明らかにすることを目的とした。MSCs、マウス頭蓋骨由来骨芽細胞、そしてマウス歯根膜細胞にLipopolysaccharide (LPS)刺激を加えた結果、これらの細胞の細胞死率が増加した。また、LPS刺激または飢餓状態におくことで、これらの細胞におけるRhoT1発現量は増加した。一方、LPS刺激後のMSCsに対して、非刺激MSCsを加えると、細胞間の細胞突起によるネットワークが活性化され、その細胞突起内にミトコンドリアが含まれていることが明らかになった。同時に、LPSによって刺激された細胞の生存率も改善された。これらの所見は、飢餓状態またはLPS刺激により、MSCsは細胞間ネットワークを活性化することで、細胞死から回避する機能を有することが示唆された。以上より、LPS刺激などに対してMSCsや歯根膜細胞のRhoT1発現が細胞損傷を改善するため、RhoT1を調節することで歯周病治療が可能になると推測される。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 2件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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