研究実績の概要 |
軟骨石灰化不全を生後自然発症するラット(CCIラット)の頭蓋底軟骨結合や下頭頭軟骨における軟骨内骨化と成長の異常について形態学的な異常がみられた。さらに軟骨細胞におけるインディアンヘッジホッグシグナル(Ihh-PTHrP)、特に転写因子のGli1mRNAの過剰発現とこれに伴う軟骨細胞の増殖と分化抑制が明らかとなり、これらと関連する遺伝子群との関係から、CCIラットはダブルヘテロのCCIラットによる常染色体劣性遺伝による形質発現が考えられる。 1)CCIラット親がヘテロの場合、常染色体に責任遺伝子が存在すると仮定し、Wild typeの近交系SDラットとCCIラットとのF1世代を作成して、表現型を確認した。その結果、平均3:1の遺伝型と表現型の発症率と一致しているため、責任遺伝子は常染色体劣性遺伝形式をとる可能性が高いことが明らかとなった。 2)CCIラットの原因遺伝子座における原因遺伝子の種類を限定するために連鎖解析を行い、軟骨石灰化異常が単一遺伝子の異常で生じるかを調べたが、候補遺伝子までの検索にまでは至らなかった。 3)下顎頭軟骨や軟骨結合部のパラフィン切片から軟骨の各細胞層におけるmRNAならびにタンパクの部位特異性を検索した結果、軟骨細胞層の静止層: PTHrP, Collagen type IIA ; 増殖層:Histon H4C, PTHrP recepter, 前肥大層:Ihh, osterix, 肥大層:type X, osteopontin, MMP 9 and 13, osteocalcin 等について検索した結果、軟骨細胞の過剰増殖(増生)が生じている一方、PTHrPシグナルの亢進には関与していないことが明らかとなった。
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