研究課題
ヒト多能性幹細胞由来末梢神経細胞のin vitro誘導のためには、ヒトを含む脊椎動物の神経堤初期発生のメカニズムを理解した上で細胞運命を制御し、再現性の高い分化誘導プロトコルを開発することが重要である。本研究では、特に頭部の末梢神経系の細胞を誘導するための外来遺伝子導入によらない、培地添加因子やECM成分の調製のみによるプロトコルの開発、ならびに誘導細胞の特性解析を目的としている。まず、(1)未分化のヒトES細胞から神経堤幹細胞ならびに頭部神経堤を高効率に誘導し、その分化誘導課程における遺伝子発現について解析を進め、未分化のヒトES細胞から頭部神経堤を誘導する課程でBMP4などの成長因子を添加する濃度と時間を的確に制御することが重要であることを立証した。(2)また、数多いヒトiPS細胞株(細胞クローン)の中から、頭部末梢神経系細胞の誘導法開発に最も有用な細胞株を選択した。次に、(3)選択したヒトiPS細胞株を用いて、ヒトES細胞を用いて設定した誘導培養条件が適用できることを確認した。(4)ヒトiPS細胞株2株を用い、頭部神経堤細胞への誘導培養条件の最適化をおこなった。ヒトiPS細胞由来頭部神経堤細胞の特性解析として、生細胞位相差顕微鏡観察による形態評価ならびに免疫染色によるマーカー発現解析評価、リアルタイムPCR解析によるマーカー遺伝子発現評価を実施した。(5)ヒトiPS細胞由来頭部神経堤細胞から末梢神経を誘導し、生細胞位相差顕微鏡観察による形態評価ならびに免疫染色によるマーカー発現解析評価、リアルイムPCR解析によるマーカー遺伝子発現評価実施し、誘導された細胞の特性解析をおこなった。しかしながら末梢神経誘導効率が安定しないことから、誘導頭部神経堤細胞の剥離方法、播種方法の検討、末梢神経誘導培地ならびにECMについて再検討を実施した。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)
J Biosci Bioeng.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.jbiosc.2018.03.007.
Exp Cell Res.
巻: 352(2) ページ: 333-345
10.1016/j.yexcr.2017.02.022.