研究課題/領域番号 |
15K11036
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
若森 実 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (50222401)
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研究分担者 |
吉田 卓史 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30455795)
高橋 哲 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (60226850)
熊本 裕行 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70215028)
窪田 寿彦 佐賀大学, 医学部, 助教 (80377746) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | チャネル |
研究実績の概要 |
タバコ煙に含まれる有機化学物質が口腔や気道に発現しているTransient Receputor Potential Ankyrin-1(TRPA1)チャネルタンパク質を活性化できるかどうかを調べるために、TRPA1チャネルをコードする遺伝子をHuman Embryonic Kidney(HEK)293細胞に一過的に発現させて、タバコ主流煙に含まれている化学物質に対する応答を記録した。TRPA1チャネルの活性評価はfura-2を用いて計測できる細胞内カルシウムイオン(Ca2+)濃度変化とパッチクランプ法ホールセル法による膜電流を指標にした。 TRPA1チャネル発現HEK293細胞に投与した5つのカルボニル化合物のうちホルムアルデヒド、ブチルアルデヒド、メチルエチルケトンが有意なCa2+濃度上昇を惹起した。一方、アセトン、クロトンアルデヒドは有意なCa2+濃度上昇を引き起こさなかった。タバコ煙に含まれるアクリロニトリル、4-(methylnitorosoamino)-1-(3-pyridy1)-1-butanoe(NNK)は有意なCa2+濃度上昇を惹起した。TRPA1チャネルの選択的活性化薬であるAllyl isothiocyanate(AITC)投与時と同様にアクリロニトリルはパッチクランプ法ホールセル法で外向き整流性を示す電流を惹起し0 mV付近に逆転電位があったことから、TRPA1チャネルを活性化することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRPA1チャネルを発現させたHEK293細胞にパッチクランプ法とFura-2を用いた細胞内Ca2+濃度測定法を適用し、タバコの煙に含まれる様々な成分の濃度―反応関係を明らかにできた。更に、平成28年度に予定していた歯肉増殖症を引き起こす代表的な抗てんかん薬(フェニトイン)とCa2+拮抗薬(ニフェジピン)による、TRPA1チャネルの活性化の検討を行い良い結果が得られている。しかし、当初予定していた歯肉線維芽細胞でのTRPA1チャネル応答の記録は遅れ気味であり、「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
計画書の実験の順番を入れ替え、当初、平成28年度に予定していた歯肉増殖症を引き起こす薬物の実験が平成27年度に終了したため、今後は平成27年度に予定していた歯肉線維芽細胞を用いた実験を平成28年度に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
TRPA1チャネルを発現させたHEK293細胞にパッチクランプ法とFura-2を用いた細胞内Ca2+濃度測定法を適用し、タバコの煙に含まれる様々な成分の濃度―反応関係を明らかにできた。しかし、歯肉線維芽細胞の実験をH28年度に回し、平成28年度に予定していた歯肉増殖症を引き起こす代表的な抗てんかん薬(フェニトイン)とCa2+拮抗薬(ニフェジピン)による、TRPA1チャネルの活性化の検討を行った為。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に予定していた歯肉線維芽細胞の実験をH28年度に回したため、残額は平成28年度に使用する予定である。
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