研究課題/領域番号 |
15K11042
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
水澤 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (80254746)
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研究分担者 |
岩田 武男 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 助教 (10350399)
吉本 勝彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (90201863)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロRNA |
研究実績の概要 |
マイクロRNA(以下miRNA)はタンパク質をコードしない短いRNAだが、タンパク質をコードするmRNAを標的にしてその発現を抑制する新たな遺伝子発現調節分子である。miRNAはあらゆる体液中に安定して存在することが現在では知られており、我々も唾液miRNAのプロファイリングを行ってきた。本研究では、1.多量に存在しているmiRNA、および、2.炎症などによって変動する可能性のあるmiRNA、について、それぞれ標的遺伝子との関連性を検証し、機能解析から唾液miRNAの意義を検討している。 1.唾液にも多量に存在するmiRNA種としてmiR-1290に注目し、細胞増殖に関わっていると考えられる遺伝子XがmiR-1290の標的であることを明らかにし、さらに、miR-1290を細胞株に導入することで細胞浸潤能に関わっていると考えられる遺伝子の変動が認められた。これらにより、正常細胞において、miR-1290が細胞増殖と細胞運動に関わる可能性が示唆され、その詳細を現在検討している。 2.炎症性サイトカインTNFa処理で変動の大きいmiR-222と、独自に注目した遺伝子Yの検証を行った。遺伝子YのmiR-222の結合部位はコンピュータの予測通り3'UTRに2カ所存在し、遺伝子Yの発現調節にmiR-222の関与を明らかにしたが、標的遺伝子Yは特に、脳、心臓、骨格筋に発現が優位で、現在、唾液腺での発現を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-1290については標的遺伝子Xとの検証を進めた。ヒト唾液中での量的変動の検証をより迅速にすすめる必要がある。miR-1290と配列の一致性が高いmiR-1246の存在により、唾液RNAからRT-PCRで増幅する際に少なくともこれら2つを同時に検出してしまうことが確認された。現在RT-PCR以外の検出方法も検討中である一方で、配列一致性が高いことから、同様の機能分子として取り扱うことも検討している。 miR-222については、miR-222自体の発現調節と標的遺伝子Yの発現変動に矛盾はないが、遺伝子Yの発現を調節するmiRNA以外の他の因子との関連性を含め、miR-222と遺伝子Yからなる細胞での機能解析を順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
miR-1290について、ヒト唾液中での量的変動と、変動をもたらす要因の検討を重ねる。 miR-222およびmiR-221(miR-222と同等の作用が考えられるファミリー分子)について、ヒト血清においても、マウス血清同様の変動が認められるのか検証する。また、機能の解明を進めてきた標的遺伝子Yについて、高齢マウスと若年マウスの顎下腺を用いた加齢の影響と、糖尿病モデルマウスと正常マウスの顎下腺を用いた炎症の影響を簡潔にまとめ、標的遺伝子の機能面からその意義を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年3月納品となり支払いが完了していないため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年4月中に支払いが完了予定である。
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