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2015 年度 実施状況報告書

膜トラフィッキング制御分子による破骨細胞分化と骨吸収の新たな調節機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K11046
研究機関佐賀大学

研究代表者

久木田 明子  佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)

研究分担者 久木田 敏夫  九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70150464)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード破骨細胞 / 膜タンパク質 / 分化 / 小胞輸送
研究実績の概要

破骨細胞は膜表面に面した膜に酸や酵素を盛んに分泌する極性を持った多核細胞で、その成熟破骨細胞への分化過程には小胞輸送の様々な過程が関わっている。しかしながらその調節機構はまだ不明な点が多い。本年度においては、申請者らがマイクロアレイ解析で明らかにした膜トラッフィッキングの調節因子Nedd4アダプタータンパク質の破骨細胞分化おける発現と機能の解析及びノックアウトマウスの作成を行なった。Nedd4アダプタータンパク質は、マクロファージ細胞RAW264 や骨髄マクロファージにRANKLを添加すると発現が24時間で上昇し、免疫染色ではプラスチック上で破骨細胞の前駆細胞に発現が見られたが、多核の破骨細胞に発現が見られなかった。しかし、骨髄由来の破骨細胞前駆細胞を象牙質の上で培養し形成した破骨細胞において強く発現することがわかり、破骨細胞での発現誘導に骨基質成分からの刺激が関与すると考えられた。さらにこのタンパク質の細胞内の局在を調べた結果、エンドソームやカテプシンKとの共局在が認められた。また、ラットアジュバント関節炎の骨破壊部位の免疫染色によりin vivoの破骨細胞において発現していることがわかった。このNedd4アダプタータンパク質の機能を調べるため、RAW264 細胞でsiRNAにより発現を抑制すると、破骨細胞の分化が抑制された。さらにマクロファージRAW264 細胞でその発現を抑制した時の、細胞表面のCD11bとRANKの発現をFlow cytometryにより解析した結果、RANKの発現が選択的に抑制され、細胞表面への輸送の制御に関わることが考えられた。さらに、Crisper-Cas9システムを用いてこのタンパク質のノックアウトマウスの作成を試みた。ゲノム解析を行ない、germlineの伝達とヘテロノックアウトマウス樹立を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度においては、Nedd4アダプタータンパク質の発現誘導の詳細な解析を行い、その機能をsiRNAによる発現抑制により明らかにし、さらにノックアウトマウスを作成することが目的であった。その結果、プラスチック上では発現が誘導されず、骨の上でのみ破骨細胞において発現が誘導されるという誘導機構が明らかになった。この発現誘導に関わる骨基質成分についても解析を行なっており、非常に独特な発現誘導をするタンパク質であることが明らかになった。さらに、このタンパク質の発現の抑制がRANKという破骨細胞の分化に重要なタンパク質の細胞表面への輸送に関わることも明らかにした。また、Crspr-Cas9システムを用いてノックアウトマウスを作成することも出来た。

今後の研究の推進方策

今年度の結果をもとに、Nedd4アダプタータンパク質の機能の詳細を明らかにしていく。どのようなタンパク質と相互作用するか、破骨細胞における活性化のシグナル因子や伝達機構と関わりについて解析を行なう。またノックアウトマウスを用いてin vivoにおける働きや骨代謝における機能についての解析を行なう。

次年度使用額が生じた理由

本年度においてはCrisper-Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作成等に費用を当てていたが、共同研究で行なったことと、予想より多くの実験を必要としなかったことから、物品費に余裕が生まれた。来年度で行なうタンパク質の機能解析やマウスの解析には予想より多くの費用を要することが考えられるため、来年度の研究費に使用することにする。

次年度使用額の使用計画

来年度においては、ノックアウトマウスを用いてμCTを用いたマウスの骨量の測定や尿中のコラーゲン分解物を測定し骨代謝の動態等を解析する。さらに様々な抗体を購入しノックアウトマウスの細胞由来の破骨細胞の分化や活性化についてWestern解析、共焦点レーザー顕微鏡による解析及びFlow cytometryによる解析を行なう。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Generation mechanism of RANKL+ effector memory B cells: its relevance to the pathogenesis of rheumatoid arthritis2016

    • 著者名/発表者名
      Ota Y., Niiro H., Ota S., Ueki N., Tsuzuki H., Nakayama T., Mishima K., Higashioka K., Jabbarzadeh-Tabrizi S., Mitoma H., Akahoshi M., Arinobu Y., Kukita A., Yamada H., Tsukamoto H., Akashi K.
    • 雑誌名

      Arthritis Reseach & Therapy

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Interferon-gamma improves impaired dentinogenic and immunosuppressive functions of irreversible pulpitis-derived human dental pulp stem cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Sonoda S, Yamaza H, Ma L, Tanaka Y, Tomoda E, Aijima R, Nonaka K, Kukita T, Shi S, Nishimura F, Yamaza T.
    • 雑誌名

      Sci Rep.

      巻: 6 ページ: -

    • DOI

      doi: 10.1038/srep19286.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Membrane Nanotube Formation in Osteoclastogenesis.2015

    • 著者名/発表者名
      Kukita T., Takahashi A., Zhang J-Q., Kukita A
    • 雑誌名

      Methods. Mol. Biol.

      巻: 1313 ページ: 193‐202

    • DOI

      doi: 10.1007/978-1-4939-2703-6_14.

  • [学会発表] POZ-ZF転写制御因子LRF/OCZFの破骨細胞の分化と機能における役割2015

    • 著者名/発表者名
      久木田 明子, 徐 祥赫, 菖蒲池 健夫, 武智 香織, 古賀 貴子, 白木 誠, 蒲原 麻菜, 久木田 敏夫, 高柳 広
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会年会 第88回日本生化学会大会 合同大会(ワークショップ)
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
    • 招待講演
  • [学会発表] OCZF(Zbtb7a)タンパク質の破骨細胞分化における発現誘導とその機能の解析2015

    • 著者名/発表者名
      久木田明子、徐祥赫、久木田敏夫
    • 学会等名
      第57回歯科基礎医学会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
    • 年月日
      2015-09-11 – 2015-09-13
  • [学会発表] Galectin-9による破骨細胞形成抑制機構:MafB制御関与の可能性2015

    • 著者名/発表者名
      久本由香里、上原範久、久木田明子、久木田敏夫
    • 学会等名
      第57回歯科基礎医学会
    • 発表場所
      朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
    • 年月日
      2015-09-11 – 2015-09-13
  • [学会発表] ラミニン332によるRANK発現調節とマクロファージ-破骨細胞分化転換の制御2015

    • 著者名/発表者名
      上原範久、久木田明子、久本由香里、保田尚孝、久木田敏夫
    • 学会等名
      第33回日本骨代謝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(東京都)
    • 年月日
      2015-07-23 – 2015-07-25
  • [学会発表] Novel Role of Nedd4 adaptor protein, Pmepa1 in the differentiation and function of osteoclasts.2015

    • 著者名/発表者名
      Xu Xianghe, Noboru Funakubo, Makoto Shiraki, Toshio Kukita, Akiko Kukita
    • 学会等名
      第33回日本骨代謝学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル(新宿)
    • 年月日
      2015-07-23 – 2015-07-25
  • [備考]

    • URL

      http://www.microbio.med.saga-u.ac.jp/biodefense/per-kuki.html

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公開日: 2017-01-06  

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