研究課題/領域番号 |
15K11051
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 遺伝子改変動物 |
研究実績の概要 |
Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は、細胞外からの様々な情報を細胞内に伝達する細胞内シグナル伝達因子で、アクチン細胞骨格制御を介した様々な生物活性を呈することが知られている。申請者はこれまで、Rhoファミリータンパク質の中で生体において非常に重要な機能を有すると考えられているRac1およびCdc42の硬組織形成における機能を、組織特異的コンディショナルノックアウトマウスを作製し解析してきた。 その結果、①Rac1fl/fl;Prx1-Creマウスは四肢、胸骨、頭蓋骨に形成不全が認められ、離乳期までの生存率は野性型と比較し低かった。四肢は短く、成長板における増殖軟骨層柱状配列の乱れ、肥大軟骨層の肥厚が認められた。また、前・後肢の指間に癒合が認められた。②野性型マウスの肢芽指間域は、胎生12日から14日にアポトーシスが起こり、その後分離する。Rac1fl/fl;Prx1-Creマウス肢芽指間域ではアポトーシスした細胞が減少しており、これがRac1コンディショナルノックアウトマウスの指間における癒合の原因であると考えられる。③Cdc42fl/fl;Prx1-Creマウスは四肢、胸骨、頭蓋骨、口蓋に形成不全が認められ、生後間もなく死亡する。四肢は野性型マウスと比較し短く、成長板における増殖軟骨層の柱状配列の乱れ、肥大軟骨層の肥厚などが認められた。また、胸骨、頭蓋骨に癒合不全が認められた。Rac1fl/fl;Prx1-Creマウスと同様に、肢芽指間域のアポトーシスした細胞が減少していた。これらのことから、Rac1とCdc42は機能に類似点と相違点があることがわかってきた。本研究ではRac1およびCdc42の時空間特異的ダブルコンディショナルノックアウトマウスを作成しその機能解析を行うことにより、Rac1とCdc42の機能重複の有無に関して明らかにしていくことを目的とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたRac1およびCdc42のダブルコンディショナルノックアウトマウス(Rac1fl/fl;Cdc42fl/fl;Prx1-CreおよびRac1fl/fl;Cdc42fl/fl;Col2-Cre)の作製に関しておおむね順調に作製が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1)主に肢芽未分化間葉系細胞特異的にRac1とCdc42を共に欠損させたダブルコンディショナルノックアウトマウス(Rac1fl/fl;Cdc42fl/fl;Prx1-Cre)を作製し、その四肢形成における表現型を解析する。 2)軟骨細胞特異的にRac1とCdc42を共に欠損させたダブルコンディショナルノックアウトマウス(Rac1fl/fl;Cdc42fl/fl;Col2-Cre)を作製し、その骨軟骨における表現型を解析する。
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