研究課題/領域番号 |
15K11052
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
望月 文子 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453648)
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研究分担者 |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
高見 正道 昭和大学, 歯学部, 教授 (80307058)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 樹状細胞 / IRF8 / 細胞分化 / 骨代謝 / 遺伝子発現 |
研究実績の概要 |
炎症性骨疾患は骨吸収の亢進により機能障害が生じ、患者のQOLが著しく低下することから、発症機序の解明と根本的治療法の開発が急務である。以前、転写因子IRF8は樹状細胞の分化制御因子として発見されたが、最近、骨吸収能を持つ破骨細胞の抑制性の分化制御因子であることが報告された(Zhao B et al. Nat Med, 15, 1066 - 1071, 2009 )。しかし、病的環境下でのIRF8の機能は不明である。申請者は「転写因子IRF8が免疫系細胞を介した炎症反応と破骨細胞を介した骨破壊の両方のプロセスに重要な役割を担う」と仮説を立て、IRF8を中心とした炎症性骨疾患の発症機序の解明ならびに治療法の開発に取り組む。平成27年度は、2型コラーゲン誘導性関節炎モデルを用いて関節炎におけるIRF8の役割を検討した。その結果、野生型マウスと比較して、IRF8欠損マウスで有意に関節炎スコアが上昇する傾向を示した。今後、関節炎惹起の責任細胞の同定、ならびにIRF8の標的因子の同定を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2型コラーゲン誘導性関節炎モデルを用いた検討は、病態生理学的解析、ならびに病理組織学的解析を終了しつつある。また、IRF8の標的因子は、いくつか候補因子を挙げることに成功しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
IRF8の標的因子の同定と同時に、それらの遺伝子変異マウスの導入を試みている。IRF8欠損マウスならびにIRF8の標的因子の遺伝子変異マウスの解析は、関節炎のみならず、関節炎に付随して生じる疼痛や睡眠障害などの病態生理学的解析も合わせて行い、IRF8を中心とした包括的な解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度、IRF8遺伝子欠損マウスを用いて、2型コラーゲン誘導性関節炎モデルを作成して、一定量の結果が得られたものの、IRF8遺伝子欠損マウスで関節炎が憎悪した際の炎症惹起に関与した責任細胞の同定に着手できていない。 また、in vitro、in vivoの両面での骨代謝解析を行うため、追加実験を行うことを予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、関節炎惹起の責任細胞の同定を含め、関節炎に関わるさまざまな症状、例えば疼痛の発症機序や疼痛が関与する睡眠障害等の生理病態学的解析を行う予定である。また、IRF8遺伝子欠損マウスの解析のみならず、IRF8と相互に作用して機能する遺伝子についても同様の解析を行うので、The Jackson Laboratories社(アメリカ合衆国)から目的の遺伝子改変マウスを購入する予定である。
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