研究課題
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析している。1)象牙芽細胞にATP刺激を行うと、一過性内向き電流が記録された。これら電流はナトリウムイオン透過性P2X7受容体、カルシウムイオン透過性P2X4受容体を介するものであった。一方、象牙芽細胞にはP2X1, P2X2/3, P2X3受容体発現は見られなかった(Shiozaki et al., 2017)。2)歯髄に分布するニューロンに直接機械刺激を加えると、ナトリウムイオン透過性電流が記録された。この電流は、いくつかの薬剤に対して感受性を示した。3)ニューロンに直接機械刺激を加え、近傍に存在するニューロンからイオン電流記録を試みたが、記録されず、ニューロン間での相互作用は見られなかった。4)ニューロンのATP受容体(P2X7受容体)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出された。このメカニズムは、疼痛反応を持続的に増強する要因として働き、堪え難い歯髄痛を惹起する要因として働くかもしれない。今後、ニューロン自身のATPによる自己分泌性制御を解明する。P2X7受容体が活性化されると、細胞内シグナルを介してATP放出イオンチャネル(パネキシンチャネル)が活性化する予備データを得ている。この点について明らかにし、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)を用いた細胞間相互作用を詳細に検討する。
4: 遅れている
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析する予定であった。1)については、十分な研究が終了しすでに成果が出ている(Shiozaki et al., 2017; Nishiyama et al., 2016; Sato et al., 2015; Shibukawa et al., 2015)。2)と3)では、ニューロンと内皮細胞の相互作用を検討する予定である。しかし、研究の過程で、ニューロン同士の相互作用は見られないこと、ニューロンのATP受容体(P2X7)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出され、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)によるこれら細胞相互作用の検討前に、ニューロン自身のATP自己分泌性制御を解明する必要が生じた。そのため、本研究課題の研究が遅延している。
現在の研究成果から、歯髄分布ニューロンのATP受容体(P2X7受容体)が、自己分泌性に放出されたATPで、強く持続的に活性化されることが見出された。このメカニズムは、疼痛反応を持続的に増強する要因として働き、堪え難い歯髄痛を惹起する要因として働くかもしれない。そこで今後、ニューロン自身のATPによる自己分泌性制御を解明したい。P2X7受容体が活性化されると、細胞内シグナルを介してATP放出イオンチャネル(パネキシンチャネル)が活性化する予備データを得ている。この点について明らかにし、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)を用いた細胞間相互作用を検討する。
本申請研究では、歯髄炎症in Vitroモデル(象牙芽細胞-歯髄ニューロン-血管内皮細胞の共培養系)を開発し、1)象牙質破壊による歯髄炎症分子動態、2)神経原性炎症モデルと分子動態、3)血流増加モデルと歯髄炎症分子動態を解析する予定であった。1)については、十分な研究が終了しすでに成果が出ている(Shiozaki et al., 2017; Nishiyama et al., 2016; Sato et al., 2015; Shibukawa et al., 2015)。2)と3)では、ニューロンと内皮細胞の相互作用を検討する予定である。しかし、研究の経過で、ニューロン同士の相互作用は見られないこと、ニューロンのATP受容体(P2X7)が自己分泌性のATPで強く持続的に活性化されることが見出され、歯髄炎症in Vitroモデル(共培養系)によるこれら細胞相互作用の検討前に、ニューロン自身のATP自己分泌性制御を解明する必要が生じた。そのため、本研究課題の研究が遅延している。今後、消耗品費(細胞培養・動物購入)、国内外成果発表費用、英文校正費用として使用する予定である。
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Frontiers in Physiology
巻: 8 ページ: Article 3
10.3389/fphys.2017.00003
巻: 8 ページ: Article 320
10.3389/fphys.2017.00320
巻: 8 ページ: Article 1078
10.3389/fphys.2017.01078