研究課題
【目的】我々はサケ白子由来のDNAスキャフォールドが骨伝導能を持つことを報告してきた。骨再生に用いられるスキャフォールドは新生骨形成時に欠損部が充分に補填されるまで最適な速度で分解されることが要求される。しかしながら、DNAは水可溶性のため、紫外線(UV)照射による架橋形成を利用し分解速度の調節したDNAスカフォールドを使用するとより新生骨形成が促進されると考えられる。そこで、今年度はUV照射によるDNAスキャフォールドの溶解度速度と新生骨再生の関係について検討した。【方法】サケ白子由来DNAを材料としてUV照射を行うことにより架橋形成させたDNAスカフォールドを作製し、分解速度,圧縮強度、リン酸放出能及び生体分解性を検討した。照射していないコントロール、0.5及び3時間照射したDNAスカフォールドを用いた。さらに、ラット頭蓋骨欠損モデルを作成し、スカフォールドを埋入し新生骨の形成率を比較した。【結果および考察】ラット背部皮下においてDNAスキャフォールドの分解速度は,UV照射時間に依存性して遅くなった。0.5時間照射群はDNA分解によるリン酸の持続的な放出を示した。さらに、これらスキャフォールドは、最終的に結合組織に置換された。ラット頭蓋骨欠損モデルにおいて,埋入2週後で0.5時間照射群は他の群に比較して最も新生骨形成率が増加した。埋入12週後ではコントロール群に比較してUV照射群は有意に形成率が増加した。以上より、UV照射による分解度の遅延は治癒過程の早期に新生骨形成を促進し、UV照射DNAスカフォールドは適度な空間維持とDNA溶解によるリン酸の徐放により新生骨形成過程に対して有用であると考えられた。
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