研究課題/領域番号 |
15K11065
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
早川 吉彦 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70164928)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | X線CT画像 / 統計的画像再構成法 / 逐次近似法 / 圧縮センシング / 歯顎顔面画像診断 / 被ばく軽減 |
研究実績の概要 |
不完全な投影データを用いたりあるいは投影データの削減を行ったりした場合,X線CT画像再構成にどのような影響が出るか,そのとき統計的再構成法アルゴリズムを用いたとき画質が維持されるか検討した.投影データを間引いて削減したり,投影角度を制限すると,患者の被ばく線量が格段に下がったり,装置の設計,たとえばコンパクト化の実現にも影響する。 ここでは,統計的画像処理法であるART(Algebraic Reconstruction Technique)法とML-EM(maximum likelihood- expectation maximization)法についてフィルタ補正逆投影法(FBP, Filtered Back-Projection)法と比較して示した.360度ないし180度の投影データに対し,X線CT画像再構成に用いるプロジェクションデータを2分の1または4分の1に減らしたとき,再構成画像に対する影響を調べた. 顎顔面領域を描出しているMDCT(Multi- Detectors Row CT)画像に対して実行したところ,統計的再構成アルゴリズムを用いたときはFPB法よりも画質劣化が起きていなかった.同時に計算負荷も軽減された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
統計的画像処理法であるART(Algebraic Reconstruction Technique)法とML-EM(maximum likelihood- expectation maximization)法について,不完全な投影データに対して,通常のフィルタ補正逆投影法(FBP, Filtered Back-Projection)法と比較して優位性があることが示された。 360度ないし180度の投影データに対し,X線CT画像再構成に用いるプロジェクションデータを2分の1または4分の1に減らしたとき,FBP法ではアーチファクトの多い画像になってしまったが,ART法やML-EM法では,診断的価値を落とすことがなさそうな程度の画質が維持できた。
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今後の研究の推進方策 |
2年目の平成28年度から,歯科用コーンビームCT画像でMDCT画像と同様な処理をすることに取り組む。また,疎性センシング,圧縮センシングによるアルゴリズムの開発に力を入れる。 また,有用性が明らかとなったART(Algebraic Reconstruction Technique)法とML-EM(maximum likelihood- expectation maximization)法について,パラメータの最適化,実装化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が40万円発生した。平成27年11月に「GPGPUマシン」の見積をとったところ予想より安かったためである。また,毎年6月下旬に開催されるCARS(Computer Assisted Radiology & Surgery)国際会議は,組織委員をしていることもあり毎年参加して学術発表を行っているが,2015年度は,校費の方から渡航費用を工面して利用して参加したため,科研費からの支出はなかった。このふたつが主な理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27(2015)年度の結果により成果が出たので,平成28(2016)年6月のCARS2016(Computer Assisted Radiology & Surgery)国際会議や同年11月のRSNA2016(Radiological Society of North America)での学術発表を計画している。前者は決定済みで,関連する話題について組織委員としてチュートリアル・レクチャーも行う。後者は申し込み中である。 2年目には,MDCT画像とコーンビームCT(CBCT)画像の処理を並行・並列して行いたいので,画像処理における演算速度の高速化のためにGPGPUマシン新規購入を予定している.次年度使用額を今年度請求額に合算して使用する。
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