研究実績の概要 |
歯原性上皮の腫瘍化や進展における幹細胞性維持に影響すると考えられる骨内微小環境での低酸素状態関連分子について検索した。
1. 方法:エナメル上皮腫67例(初発48例、再発19例;充実型37例、単嚢胞型11例を含む)を対象の歯嚢10例を用い、HIF-1, CA IX, CD34の発現・局在について免疫組織化学により解析した。 2. 結果:HIF-1, CA IXは、歯原性上皮性細胞および間質間葉系細胞に発現がみられた。これらの発現は、歯嚢よりエナメル上皮腫で高く、充実型エナメル上皮腫で単嚢胞性エナメル上皮腫より高い傾向を示した。D34は、間質の新生血管内視細胞に陽性を示し、観察単位面積当たりの血管密度は歯嚢よりエナメル上皮腫で高く、充実型エナメル上皮腫で単嚢胞性エナメル上皮腫より高い傾向を示した。また、HIF-1, CA IXの発現とCD34陽性血管は正の相関を示した。 3. 考察:歯原性組織の腫瘍発生に骨内微小環境下の低酸素状態が影響することが示唆された。この低酸素状態およびこれに伴う血管新生は、腫瘍組織の組織構築とも関わり、骨内進展の判定因子となり得る可能性が示された。
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