研究課題/領域番号 |
15K11069
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
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研究分担者 |
阿部 達也 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (70634856)
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
程 クン 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40207460) [辞退]
朔 敬 大阪歯科大学, 歯学部, 客員教授 (40145264)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 唾液腺多形性腺腫 / 低酸素 / HIF-1α / c-Myc / SM-AP |
研究実績の概要 |
1) c-Myc蛋白質発現解析: SM-AP1とSM-AP4のc-Myc蛋白質発現について、試験管内で比較した。両細胞を通常の培養条件(10% FCS/5% CO2)と低酸素条件(1%O2/5%CO2/94%N2)とで48時間培養(中長期低酸素培養)後に、4%パラフォルムアルデヒドで固定後、c-Myc抗体をもちいて、免疫蛍光抗体法にてその発現動態を検討した。その結果、前年のウエスタンブロッティング法でのc-Myc蛋白質発現の結果と同様に、SM-AP1とSM-AP4の両細胞共に低酸素培養条件下において、c-Myc蛋白質が主に細胞核に陽性であることが確認された。(なおHIF-1αの発現も同様に低酸素条件下でHIF-1α蛋白質の高発現と細胞核への局在が確認されていることから、通常c-Mycが過剰発現しているがん細胞においてはHIF-1αとc-Mycが協調し、HIF-1αの活性化を起こすのと同じ現象が起きていると考えられた)。 2) SM-AP細胞系のc-Myc遺伝子発現抑制による細胞機能解析: 1)での低酸素下でのc-Myc蛋白質発現解析の結果をうけて、c-Mycが細胞機能にどのように関わっているのかを検討するために、SM-AP細胞系にsiRNAを用いたc-Myc発現を抑制した系を作成し、SM-AP細胞系の増殖および遊走能の比較検討をおこなった。その結果、siRNAでc-Mycの発現を抑制したうえで、細胞を同量にまきなおした後の3日間の細胞増殖を比較したところ、SM-AP1及びSM-AP4ともに、c-Mycの発現を抑制した細胞の増殖が、コントロールに比して抑制されてることが示された。さらに同様にトランスウエルチャンバーに細胞をまきなおした後、24時間後の細胞遊走を比較したところ、SM-AP1でc-Mycの発現を抑制した細胞の遊走能が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに多形性腺腫由来SM-AP細胞を用いた試験管内における細胞レベルでの検討で、中長期低酸素培養下で、低酸素応答を司る転写因子であるHIF-1αとc-Mycの遺伝子及び蛋白質の高発現とともに蛋白質の核局在が示されたことから、MYCが過剰発現しているSM-AP細胞においてはMYCとHIF-1が協調し、さらなるHIF-1の活性化を起こしていることが示唆された。またMYC発現をsiRNA法にて抑制することで、細胞増殖のみだけでなく遊走も抑制されたことから、SM-AP細胞はMYCを高発現することで、低酸素状態での細胞の生存・増殖を維持していることが示唆されました。さらにその際のエネルギー代謝については栄養トランスポーターであるGLUT1及びASCT2による糖やアミノ酸の取り込み亢進がその役割を担っていることも想定された。
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今後の研究の推進方策 |
前述のとおり多形性腺腫細胞は低酸素状態でHIF-1αとc-Mycによるエネルギー代謝を調節していることが示唆され、唾液腺多形性腺腫には低酸素状態があり、その中でエネルギー代謝を亢進しながら腫瘍細胞の生存・増殖が維持されていることが示唆されたので、今後はこの実験系を用いて、c-Mycによるエネルギー代謝調節におけるc-Mycの役割をより詳細に検討するために、HIF-1αまたはGLUT1及びASCT2をノックダウンすることによる、c-Mycの発現レベルの変化や細胞増殖や遊走といった機能面の解析から検討を加えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
SM-AP細胞系のc-Myc遺伝子発現抑制による細胞機能解析のための条件検討が予定していたよりもスムーズに行えたため、当該助成金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
HIF-1αとc-Mycの相互作用をより詳細に検討するとともに、試験管内における細胞レベルでの解析で得られた結果について、免疫組織化学的解析により、同細部系ヌードマウス移植腫瘤やヒト多形性腺腫を含むヒト腫瘍・癌組織材料で検討をおこなっていくための費用として翌年分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
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