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2015 年度 実施状況報告書

重症複合型免疫不全を呈する希少難病(細網異形成症)の病態解明と治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K11072
研究機関徳島大学

研究代表者

野間 隆文  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (40189428)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード細網異形成症 / 重症複合型免疫不全症 / アデニル酸キナーゼ2 / ミトコンドリア / 制御性T細胞 / FoxP3遺伝子 / テトラサイクリン / 誘導型発現ベクター
研究実績の概要

AK2遺伝子は重症複合型免疫不全症(細網異形成症(RD))の責任遺伝子である。AK2はミトコンドリア膜間に存在するアデニンヌクレオチド代謝に関わる酵素であるが、AK2遺伝子変異がRDという病態の発症機序については全く不明のままである。我々はショウジョウバエを用いて、AK2遺伝子ノックアウトフライを作製し、その発生過程で幼虫第2期に致死性変化をもたらすことを見い出した。次いで、AK2欠損に伴う個体発生の変化と血球分化異常との関連性について着目し、AK2遺伝子の欠失がHL-60細胞の分化誘導系でマクロファージ分化には障害を与えないものの、好中球特異的に成熟分化障害をもたらすことを見い出し、AK2欠損によるbipotentの血球幹細胞の系列細胞特異的な遺伝子発現制御を介した好中球特異的な分化障害モデルを提唱し、報告した。さらに、ショウジョウバエのAK2欠失動物モデルを用いた遺伝子発現変動の網羅的なin silico解析結果から、AK2によって惹起されるミトコンドリア代謝シグナル仮説を提唱し、報告した。以上の研究成果を踏まえ、AK2遺伝子変異は血球幹細胞から各系列分化制御過程において、ミトコンドリア機能依存的に免疫担当細胞のうちのT細胞と好中球を選択的に障害することが病態発症機序の本質であると考えるに至った。このAK2機能異常仮説をRDにおいて選択的障害を受けるT細胞において検証し、発症機序に基づいた治療法を開発するのに必要な標的を見い出すことに繋がる可能性が期待される。そこで、T細胞のうちミトコンドリア依存性があるTreg細胞の試験管内誘導系を確立し、AK2欠損による障害の標的を探索し、病態解明に繋げることを試みた。そこで、Treg細胞誘導に必須のFoxP3cDNAをクローニングし、Tet誘導型FoxP3発現ベクターの構築を完了した。現在、安定型発現ベクターの導入細胞の樹立の作業中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Treg細胞誘導系に必須のTet誘導型FOXP3遺伝子発現ベクターの作製を終えたことから、安定的T細胞株を樹立するのは時間の問題と考えている。血球系細胞への遺伝子導入効率が低い点を考慮し、現在遺伝子導入法について、エレクトロポレーション法などを含め、改善方法も検討していることから、遺伝子導入効率の改善の課題は解決できるものと考えている。

今後の研究の推進方策

Treg細胞誘導系の確立に引き続き、平成28年度は血球分化のレスキュー実験の確認とそれに基づいた新規誘導剤のスクリーニングの研究を進めたいと考えている。研究計画の遅れを回復するために、研究分担者を二人追加することとした。1人は、AK2欠損T細胞において、レスキューできる代替酵素のスクリーニングを行ない。もう1人は、代替酵素の発見の後、その代替酵素の遺伝子プロモーターのin silico解析によって、発現調節機構と発現制御因子のデータ取得を行うことで、代替酵素の誘導物質発見に繋げる予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度計画の一部である代替酵素に関する実験を28年度に移行させたため。

次年度使用額の使用計画

研究費の一部(16万円)を平成28年度に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Potential and application of oral mucosa in regenerative medicine2016

    • 著者名/発表者名
      野間 隆文
    • 学会等名
      NATIONAL COLLOQUIUM ON STEM CELL RESEARCH 2016
    • 発表場所
      コタバル市、マレーシア
    • 年月日
      2016-03-07

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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