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2017 年度 実施状況報告書

顎顔面部における可動性蛋白質/ペプチドの化学交換イメージングの検討

研究課題

研究課題/領域番号 15K11073
研究機関九州大学

研究代表者

筑井 徹  九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10295090)

研究分担者 岡村 和俊  九州大学, 歯学研究院, 助教 (20346802)
河津 俊幸  九州大学, 大学病院, 助教 (20294960)
加美 由紀子  九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60552023)
川野 真太郎  九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)
吉浦 一紀  九州大学, 歯学研究院, 教授 (20210643)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード可動性タンパク質・ペプチド / 脂肪含有率
研究実績の概要

1.脂肪含有が可動性タンパク質・ペプチド(APT)イメージングにあたえる影響の検討と2. APTイメージングの2次元から3次元データ収集への改善を行った。
1.脂肪がCEST効果にあたえる影響の検討
APTの指標として±3.5ppmでのMTRの非対称性(MTR asym)を算出する。-3.5ppmは、脂肪のメインピークと重なるため、脂肪抑制の精度や内含する脂肪の割合が影響してくる。そのため、頭頸部腫瘍の症例のproton density fat fraction(PDFF)を算出した。扁平上皮癌では、1.5±0.7%, 嚢胞では、1.0±1.0%とPDFFは非常に少なく、血管腫や唾液腺腫瘍は、4%を超えるような高値を示す物もあった。扁平上皮癌や嚢胞などは、脂肪含有の影響は少ないが、血管腫、唾液腺腫瘍などは脂肪含有率が多いため、MTR asymの解釈に注意を払う必要があると考えられた。
2.3D-ATPイメージングに関して
連続的に飽和パルスを印加するsequenceにB0 mapを別個に撮像する方法(3D B0map法)、3 point DIXONによるB0補正と連続的に飽和パルスを印加するsequenceを一体化した方法(3D DIXON TSE法)を用いた。咬筋と舌を関心領域とした。MTR aymの標準偏差は、3D DIXON TSE法で最も低く、咬筋で、0.62±0.02%、舌で1.11±0.49%と最も低く、単スライスの2D B0map法(咬筋; P=0.009,舌; P=0.010)と3D B0map法(咬筋; P=0.039,舌; P=0.0016)より有意差に小さかった。B0map法を別途撮像する方法では、二つの撮像間にgapがあり、その間の体動、脂肪抑制不良が大きなSDにつながったと考えられ、3D DIXON TSE法が、最も信頼のおける撮像法と考えられた

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ボランティアの検討により、3D DIXON TSE法が最も信頼できる撮像法との結果を得たが、MR装置の更新、version upの伴う使用装置の制限により病変に応用する期間を十分確保する事ができなかったのが、予定よりやや遅れた第一の理由である。また、脂肪がCEST効果にあたえる影響の検討に関して、イメージベースの脂肪含有量(proton density fat fraction: PDFF)の算出法(mDIXONQuant)の精度検討に時間に時間がかかった事がおくれた第二の理由である。
しかしながら、mDIXONQuantの精度算出のおいては、ファントム実験、ボランティア実験(耳下腺および皮下脂肪)により、PDFF算出のgold standardとなっているMRS (STEM)法と比較し、その精度を詳細に検討する事ができた。MRS (STEM)法では、脂肪の代表的なpeakをもとめて、それらの合計をすることにより、PDFFを求めた。また、近年開発されたイメージベースのPDFFの算出法である6ポイントDixon法(mDIXON Quant)でも同じ関心領域でPDFFを算出して、2手法の相関を求めた。例えば耳下腺においては、PDFF(mDIXON)=1.05xPDFF(STEAM)-2.07 (R2=0.964)と高い相関をしめし、mDIXON Quantを頭頸部に応用する事の正当性が証明できた。また、実際にmDIXON Quant法により代表的な腫瘍に関してのPDFFを算出する事ができた。頭頸部におけるPDFFの報告はほとんどないため、貴重なデータがえられたものと考えられる。

今後の研究の推進方策

3D DIXON TSE法によるATPイメージングをボランティアだけではなく、病変に応用することを本年度の目標とする(10名程度)。29年度の結果を考えると、脂肪含有率が大きい腫瘍に関しては、3D DIXON TSE法を用いてもMTR asymに与える影響は無視できないと考えられる。そのため、対象をPDFFの小さい扁平上皮ガンに絞り、MTR aymと、見かけの拡散係数、また通常の臨床で行われるPET-CTのSUVとの関連を評価する予定である。とくにMTR aymとADC mapは、両者の相関を最適化するために、回転・平行移動によりfusionさせる予定である。
また、PDFFの確認においては、日常の臨床では、mDIXON Quantを用いて確認する事は、撮像時間の関係もあり困難である。当施設では、通常T1, T2強調像を2 point DIXON法を用いて撮像しているため、water画像、fat画像を用いて、PDFFの代替として用いる予定である。

次年度使用額が生じた理由

共同研究者のPC・アプリケーション購入が、他予算で購入可能であった事が第一の理由である。また、日本磁気共鳴医学会などの参加において、共同研究者、研究協力者が、他の予算の使用が可能であり、本研究費から支出する必要がなかった事が、第二の理由である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Estimation of proton density fat fraction of the salivary gland2018

    • 著者名/発表者名
      Chikui Toru、Yamashita Yasuo、Kise Yoshitaka、Saito Tomonori、Okamura Kazutoshi、Yoshiura Kazunori
    • 雑誌名

      The British Journal of Radiology

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1259/bjr.20170671

    • 査読あり

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公開日: 2018-12-17  

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