研究課題/領域番号 |
15K11074
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉浦 一紀 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20210643)
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研究分担者 |
筑井 徹 九州大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10295090)
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20346802)
吉野 真弓 (清水真弓) 九州大学, 大学病院, 講師 (50253464)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 画質評価 / CT / 線量 |
研究実績の概要 |
平均的な観察者が識別可能な最小輝度差である輝度弁別閾(JND)を利用した汎用的画質評価法をMDCTにより得られた画像に適用し、観察者評価の代替となりうる成り得るか、および、インプラントCTの適切な撮影条件の指標と成り得るかについて検討した。 底面に7×12個のホールを有するアルミステップファントムを対象とし、2種類のMDCTにて撮影を行い、ホール面側の重ね合わせ画像を作成した。観察環境モニターにおける256階調グレースケールに対するJNDインデックスを利用し、対象画像の背景濃度とノイズからホールを識別できる閾値(ΔG値)を算出した。ImageJ(NIH, USA)を使用し、ΔG値以上の画素値を持つ一定のサイズ以上のホールをカウントし、ホール深さごとに検出されないホール数を算出し、7名の歯科医師によるホール非検出数と比較した。 また、異なる組成の被写体に対してもJND利用の画質評価法が適用できるかを確認するため、テフロンおよびアルミステップファントムを対象として、MDCTにて撮影を行った。なお、管電圧120 kVを一定とし、管電流200、150、100、50、10 mAの5シリーズを撮影することにより、線量による非検出数がどのように表れる変化するかを検討した。 CT画像においても、JNDを利用した計算により求めた理論上のホール非検出数により、観察者によるホール非検出数を高い精度で推定できることが確認された。また、テフロンとアルミという異なる被写体において、管電流に対するホール非検出数の変化には、同様の傾向が見られた。骨のCT値に近いテフロンファントムを用いた検討でも、JNDを使用した本評価法は線量変化を反映しており、インプラントCTの撮影条件決定のための指標として用いることができる可能性があると思われた。今後は、この手法を歯科用CBCTの画質評価に応用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、主に医科用MDCTを用いて、線量とファントム画像の画像情報量の定量的評価を行い、新しく開発した画像情報定量評価法が観察者評価に替わり得ることを検証し、また、線量を変化させた場合の情報量変化も適切に反映されていることを確認した。 現在、本手法を歯科用CBCTの画質評価に応用し、医科用CTと同様の定量的画質評価を行うことができることを確認した。歯科用CBCTにおいては、主に管電圧変化に伴う画質の変化を検討したが、歯科用CBCTにおける線量には、管電圧および管電流の二つのパラメータが関与しており、医科用CTと同様の手法にて線量評価を行うことができない。そのため、医科用MDCTと歯科用CBCTの線量を同一基準で評価するための線量計を購入し、その線量測定を行っているところである。 また、ファントムに関しては、アルミステップ、テフロンステップ、テフロン板、顎骨模型の4種類について検討し、観察者による下顎管の検出能を反映した最適なファントムの組合せについても検討を行っている。これまでの検討結果では、顎骨模型にテフロン板を組み合わせたファントム、およびアルミステップにテフロンステップを組み合わせたファントムが、観察者による下顎管の検出能を最も反映している可能性があることが確認されたが、下顎管検出能については文献より得られた値を用いているので、今後は実際の観察者による下顎管検出能との関連を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究計画に基づき、以下の検討を行う予定である。 1. 疑似X線画像を用いた3次元から2次元への画像情報量変化の定量的評価。 CBCTにて得られた3次元画像データを用い、画像再構成にて2次元疑似X線画像を作成する。断層画像の重ね合わせ枚数を段階的に変化させ、3次元画像から2次元画像になることにより、画像情報量がどのように失われていくかを定量的に評価する。さらに、線量の変化が3次元画像および2次元の画像情報量にどのように影響するかを定量的に評価する。 2. 下顎管検出における診断能と画像情報量との関連についての定量的評価。 顎骨模型にテフロン板を組み合わせたファントムを歯科用CBCTにて線量を種々に変化させて撮影する。得られた顎骨ファントムCT画像における下顎管検出能について、観察者を用いたROC解析を行う。得られた診断能により、線量と診断能の関連を定量的に評価する。さらに3次元画像データから2次元疑似X線画像を作成し、同様のROC解析を行う。両者を比較し、下顎管検出に必要な線量と3次元画像および2次元の画像情報量の関連を解明する。さらに、テフロンファントム部分に、本研究にて開発した汎用的画質評価法を適用し、得られた定量的画像情報量と、ROC解析にて得られた診断能との関連を求め、テフロンファントムを用いた画質評価法の有用性についても検討する。 これら一連の検討により、診断に必要な画像情報量のエビデンスが構築でき、歯科用CBCT検査の最適化を行うことができるようになると期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画では、本年度に頭部撮影用透明ファントムを購入し、次年度からの実験に使用する予定であったが、アルミおよびテフロンファントムにて基礎的検討を行っていたところ、それらのファントム自体の更新が必要であり、新たに購入する必要があることが判明した。また、線量測定については、病院放射線部所有の線量計を使用する予定であったが、歯科用CBCTの線量測定においては、やや特殊な線量計および器具を使用する必要があり、それらについても新規購入が必要であることが判明した。そのため、頭部撮影用透明ファントムの購入は見送り、研究室所有の乾燥頭蓋骨を頭部撮影用ファントムとして使用する計画に変更した。以上が次年度使用額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究自体は順調に進んでいるため、頭部撮影用透明ファントムの購入は必要ないと思われる。研究成果も想定以上に得られているため、今年度行う予定であった成果発表の機会を増やし、また、さらなる研究の進展のために、次年度に向けた研究打合せの機会を新たに設けたいと考えている。
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