研究課題/領域番号 |
15K11075
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉野 真弓 (清水真弓) 九州大学, 大学病院, 講師 (50253464)
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研究分担者 |
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20346802)
森山 雅文 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20452774)
大山 順子 九州大学, 歯学研究院, 助教 (70294957)
荒木 和之 昭和大学, 歯学部, 准教授 (50184271)
木瀬 祥貴 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (30513197)
林 孝文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80198845)
三輪 邦弘 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (10136509)
古跡 孝和 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (40121818) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / 超音波 / 診断 / 多施設 / 標準化 / 非侵襲 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群の診断基準として近年、超音波検査を加えようという提案が主にヨーロッパの研究者たちからなされている。 Comec等は超音波診断を診断基準に加えるべきだとしながらも、1.所見の取り方が、施設により異なる。2.超音波診断は撮像と診断が術者に大きく依存し、客観性に乏しい。という問題が解決されるべきとし、多施設での検討を始めているが、3.撮像条件のクオリティー(装置、中心周波数の違い、など)4.診断者の標準化(どのくらいの症例にあたる必要があるのか、など)という、より基本的な問題には触れていない。 本研究では、3、4の基本的な問題を多施設で検討することにより、シェーグレン症候群の超音波診断に必要な機器、周波数、トレーニングの内容や期間の基準を決定することを主目的とし、その過程で合わせて1、2の問題点を検討し、超音波診断が国際基準に導入される基盤を確立することを目的とする。 平成28年度は我々の施設で用意した同一患者の撮像条件を変化させて撮像した超音波像(2種類の装置:A社、T社、4段階の中心周波数の高さ:5,6,7,8 MHz)を、6施設計14名で診断し、ROC解析による正診率、感度、特異度を比較した。診断者は画像観察の他、アンケート調査(調査項目:経験年数、検査頻度、使用機器、診断基準、フィードバックの有無)へも回答した。その結果、いずれの観察者においてもA社製で正診率が有意に高かったが、中心周波数については4段階のうち7MHzと8MHzの間を除き、全体には有意差は認められなかった。アンケート結果では、検査頻度とフィードバックの有無で有意差が認められた。正診率を向上させるためには、検査頻度は1例/月程度が必要であり、フィードバックはかなり正確性を要すると考えられた。正診率が高い観察者では装置による差が小さく、正診率のみならず感度も高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に予定していた診断に必要な装置、中心周波数の条件を決定するための、同一患者の撮像条件を変化させて撮像した画像(2種類の装置、4段階の中心周波数の高さ)を連携施設に送り、ブラインドで診断してもらった結果を解析した。 当初予定していた、連携施設からの過去に診断した超音波画像(唾液腺損傷のゴールドスタンダードとなる唾液腺造影あるいはMR-sialographyがあるもの)の供出については、当施設を除く他施設では十分な量が揃わないため、取り止めることとした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の解析結果から、装置の違い、観察者の検査頻度、フィードバックの有無がシェーグレン症候群超音波検査の診断能を左右する因子であることが明らかになった。このうち各施設で改良可能であるものはフィードバックの有無であるため、最終年度はその項目についてさらに解析する予定である。 当初の計画では連携施設から当施設に一定期間滞在しての診断練習を予定していたが、各施設での人員不足等の問題もあり、画像送付による診断練習に変更することとした。この変更により、多施設で並行して診断練習を行うことができ、研究の遅れを取り戻すことができると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた、連携施設から当施設に一定期間滞在して診断練習をしてもらう計画が、諸般の事情により中止せざるを得なくなったため、旅費・滞在費に余剰が出た。
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次年度使用額の使用計画 |
結果の学会発表や、装置の標準化の際に、参加費・旅費として使用する予定である。
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