研究課題/領域番号 |
15K11076
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
光安 岳志 九州大学, 大学病院, 助教 (00380519)
|
研究分担者 |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | エナメル上皮腫 / ソニックヘッジホッグシグナル |
研究実績の概要 |
エナメル上皮腫は良性の歯原性腫瘍ですが局所的に顎骨に浸潤増殖し、しばしば再発するため、顎骨切除といった根治的な治療によりQOLを低下させます。それゆえ新規の治療法の開発が望まれています。本研究ではその候補としてSonic hedgehog(SHH)シグナル経路の阻害薬に着目しました。 SHHは胎生期の細胞の分化や組織の形態形成に関与しています。また、近年SHHシグナル経路の異常が基底細胞癌や髄芽腫などの悪性腫瘍の発生へ関与していることが明らかになりました。申請者らはエナメル上皮腫においても同様にSHHシグナル経路が腫瘍の増殖に重要な役割を担っており、その阻害による増殖の抑制が可能であることを明らかにしてきました。本研究ではHHシグナル経路阻害による増殖抑制とアポトーシス誘導により新たな治療法を開発することを目的としています。 AM-1、AM-3各エナメル上皮腫細胞株においてHHシグナル経路遺伝子およびタンパクの発現の検索を行い、SHH、SMO、PTCH、GLI1、GLI2、GLI3の発現を確認しました。 次にHHシグナル経路阻害薬がAM-1における増殖に与える影響についての検索を行いました。細胞増殖実験 WSTアッセイおよびBrdU取り込み実験を行い、HHシグナル経路阻害薬により増殖抑制を確認しました。またHHシグナル経路阻害薬によるアポトーシス誘導能の検索では 1)TUNEL法によるアポトーシス陽性細胞率の比較 2)Annexin V陽性細胞率の比較を行い、アポトーシスに与える影響の観察において有意にアポトーシスを誘導することが確認されました。またアポトーシス関連遺伝子であるBcl-2、BAXについての検索では、HHシグナル経路阻害薬によりBcl-2の発現抑制とBAXの発現上昇を認め、細胞死が誘導されることが示唆されました。HHシグナル阻害薬の種類を増やして、AM-1に加えてAM-3でも解析を進めています。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者である大学院生の帰国によりデータの解析がやや遅れています。また、追加実験および論文作成のための時間が予定よりも必要となっています。エナメル上皮腫細胞株AM-1, AM-3のBRAF、SHH関連遺伝子の変異の確認を追加実験として予定しています。
|
今後の研究の推進方策 |
エナメル上皮腫細胞株AM-1, AM-3のBRAF、SHH関連遺伝子の変異の確認を追加実験として行い、論文作成を行う予定です。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当該年度の物品費が予定より少なく進行したため、次年度使用額が生じました。 (使用計画) 研究の継続にあたり、物品費の支出および誌上発表の準備のための支出、学会発表を予定しています。
|