研究実績の概要 |
本研究ではエナメル上皮腫のHHシグナル経路阻害による増殖抑制とアポトーシス誘導により新たな治療法を開発することを目的としています。 AM-1、AM-3各エナメル上皮腫細胞株においてHHシグナル経路遺伝子およびタンパクの発現の検索を行い、SHH、SMO、PTCH、GLI1、GLI2、GLI3の発現を確認しました。 次にHHシグナル経路阻害薬がAM-1における増殖に与える影響についての検索を行いました。細胞増殖実験 WSTアッセイおよびBrdU取り込み実験を行い、HHシグナル経路阻害薬により増殖抑制を確認しました。またHHシグナル経路阻害薬によるアポトーシス誘導能の検索では 1)TUNEL法によるアポトーシス陽性細胞率の比較 2)Annexin V陽性細胞率の比較を行い、アポトーシスに与える影響の観察において有意にアポトーシスを誘導することが確認されました。またアポトーシス関連遺伝子であるBcl-2、BAXについての検索では、HHシグナル経路阻害薬によりBcl-2の発現抑制とBAXの発現上昇を認め、細胞死が誘導されることが示唆されました。AM-1に加えてAM-3でも解析を進め、その結果、種々のHHシグナル阻害薬 (Cyclopamine, GDC-0449 (vismodegib) : SMOinhibitors, GANT-61, JQ-1: GLI inhibitors.)により細胞増殖が抑制されるとともに、細胞死が誘導されることを確認しました。AM-1はBRAF遺伝子の変異を有していますが、HHシグナル阻害薬により腫瘍の増殖を抑制し、細胞死を誘導する作用が得られる可能性が示唆されたことは、本腫瘍の治療に当たり有用な結果であると思われます。
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