研究実績の概要 |
電解酸性機能水 (FW) の創傷治癒促進効果についてさらなるメカニズムを解明するため,W を口腔上皮細胞 (HSC-3, Ca9-22) に作用させたところ IL-1α 以外にも EMMPRIN が増強することを見出した。IL-1α は代表的な alarmin であることから, FW によって誘導、分泌される EMMPRIN も alarmin の一種ではないかと考えられる。そこで, HSC-3とCa9-22に FW を作用させたところ, 培養上清中に EMMPRIN の有意な増加を確認した。また, FW 群と control 群では EMMPRIN 遺伝子の発現に有意差はなかった。 FW 作用後 1 時間で培養上清中の EMMPRIN が有意に増強し, 細胞内溶液中の EMMPRIN は有意に減少する一方, 遺伝子レベルでは, FWはEMMRPIN 発現に影響を及ぼさなかった。このことは, 培養上清中の EMMPRIN 発現増強は細胞内に含有されている EMMPRIN が FW の作用により細胞外に排出される現象であり, IL-1α と同様であった。そこで、FW 以外の非感染性刺激でHSC-3とCa9-22を刺激し, IL-1α および EMMPRIN の分泌の変化を比較検討したところ, IL-1α とEMMPRIN の分泌に相関関係があることが分かった。さらに, EMMPRIN の基本的作用について, ヒト単球性白血病由来細胞 (THP-1) を用いて実験したところ、FW が誘導する EMMPRIN はTHP-1 において PDGF 遺伝子の発現を増強した。PDGF は血管新生を促進させるので, 創傷治癒を促進することが示唆される。EMMPRIN は細胞のストレス条件下で IL-1α と同様に分泌促進されたことから alarmin の一種である可能性が示唆された。
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