研究課題/領域番号 |
15K11091
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
中山 亮子 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (50749843)
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研究分担者 |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
井上 裕子 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (50367306)
梁 洪淵 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10298268)
内田 仁司 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20736996)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | OVX / マウス / 唾液分泌 / エストロゲン / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
エストロゲンによるミトコンドリア機能の制御が唾液分泌能に果たす役割について、その関与と分子機構を明らかにするため、卵巣摘出マウスや経産または未経産の自然閉経マウスにおいて唾液分泌能と唾液腺組織の ミトコンドリア機能を解析することで、エストロゲンによるミトコンドリア機能の制御 が唾液分泌能に及ぼす影響についての検討を行う。 27年度は、生後6週齢の C57BL6/N雌性マウスに卵巣摘出(OVX)を施し早期閉経モデルマウスとしたものと、偽手術(sham)群をコントロールとして30週齢まで飼育し、ピロカルピン刺激時の唾液分泌量を測定した。また、唾液腺組織におけるミトコンドリアの機能を比較するため、マウスの唾液腺組織のATP量の測定を行った。結果、30週令(術後24週)でOVX群はコントロールと比較して唾液分泌量が有意に減少し(P<0.001)、唾液腺組織におけるATP量も有意に低下していた(P<0.05)。 唾液腺組織中の唾液中エストロゲン量は測定Kitの検出限界に近く正確な測定ができなかったため、血中エストロゲン量の測定に切り替える予定である。また、OVXおよびshamマウスの唾液腺よりRNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行ったところ、OVXによる唾液分泌量低下に伴い発現の低下する遺伝子が47、逆に発現が増加する遺伝子が56抽出された。さらに、大豆由来成分を含まない飼料で飼育したところ、10週早く20週令でOVXの唾液分泌量低下が観察された結果も合わせ、エストロゲン受容体への刺激による唾液分泌の制御が示唆された。 経産または未経産の自然閉経マウスにおいては50週令時点での唾液分泌量の違いは観察されなかったが、75週令まで観察を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを長期飼育する間に採血や唾液分泌量の測定を複数回行わなければならなかったが、予定通りに進行し必要な試料やデータを得る事ができた。さらに個体数の多いデータとするため追加でマウスを入手し、進行中である。 唾液腺の一部よりミトコンドリアを分画し、複合体活性や酸素消費量の測定を行う予定であったが、マウス顎下線が小さく十分な試料が得られないため、ミトコンドリア画分を用いる実験は培養細胞系での検討に切り替えた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、早期閉経または自然閉経モデルマウスより得られた唾液試料、血清試料、唾液腺組織試料について、詳細な解析を進める。具体的には、唾液腺組織中のミトコンドリアコピー数の計測、血中エストロゲン量の測定、免疫組織染色によるERやミトコンドリ ア呼吸鎖複合体やイオンチャネルなどの局在と発現量の解析を行う。また、ヒト唾液腺由来細胞株にエストロゲンを添加して培養後ミトコンドリアを分画し、複合体活性や酸素消費量の測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの追加購入およびそれに付随する飼料や試薬等購入により物品費が予定よりも多くかかったが、データ整理や入力などの研究補助人件費として予定していた額は、研究者らが自ら業務を担う事で軽減され、結果102,142円の次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、追加実験で得られた試料の解析の為にかかる試薬や物品等の費用に充てるものとする。
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