研究課題
これまでパノラマエックス線写真上の下顎骨下縁皮質骨形態指標の有用性については世界的に見ても約1000名の歯科受診患者集団での検証が最高であったが、本年度は4459名の歯科受診患者について検証を行った。アウトカムは実臨床上で診断された骨粗鬆症とした。多変量解析の結果、正常の皮質骨形態を有する歯科受診患者に比して、軽度~中等度の粗鬆化の皮質骨を有する歯科受診患者、重度粗鬆化の皮質骨を有する歯科受診患者が骨粗鬆症と診断される修正オッズ比は各々、2.497(95%信頼区間、1.649-3.781)、3.828(2.373-6.174)となり、大規模集団におけるパノラマエックス線写真上の下顎骨下縁皮質骨形態指標の有用性が実証された。この検証の中で高血圧の存在により骨粗鬆症と診断される修正オッズ比は1.503(1.112-2.032)となったことから、パノラマエックス線写真による骨粗鬆症スクリーニングに高血圧の存在の情報が有用であることが示された。総頸動脈分岐部の石灰化の自動スクリーニングシステムは、Local Intensity Distribution and Snakes Methodを用いた開発が終了して現在工学系の論文に投稿中であるが(IEEE Access)、自動スクリーニング力は非常に高くなった。ただし開発が僅かに遅れたため、下顎骨下縁皮質骨形態指標との組み合わせによる骨粗鬆症スクリーニング力は検証できなかった。スゥエ―デンのJonassonらは視覚的歯槽骨骨梁分類により骨粗鬆症スクリーニングが可能であると報告していたことから、250名の閉経後女性における骨粗鬆症スクリーニング能力について視覚的歯槽骨骨梁分類の有用性を検証したが、結果としては、不良な個人間再現性と修正オッズ比を考慮した場合、視覚的歯槽骨の骨梁分類は骨粗鬆症スクリーニングに有効でない可能性が示唆された。
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