研究課題/領域番号 |
15K11093
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
平賀 徹 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (70322170)
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研究分担者 |
細矢 明宏 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (70350824)
二宮 禎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (00360222)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | がん / 骨転移 / がん幹細胞 / EpCAM |
研究実績の概要 |
研究計画第2年度となる平成28年度は、がん細胞のEpCAM発現とがん幹細胞様形質との関連について解析を行った。加えて、EpCAM陽性がん細胞の骨転移能について動物モデルを用いて検討した。 1. EpCAM陽性がん細胞のがん幹細胞様形質: 平成27年度に確立した方法により分離したEpCAM低/高発現がん細胞を用いて比較検討を行った。EpCAM陽性細胞は浮遊培養系でのsphere形成、およびマウス乳腺内移植での腫瘍形成がEpCAM陰性細胞と比較して著明に亢進していた。また、単層培養系において、EpCAM陽性細胞からは継時的にEpCAM陰性細胞への分化がみられたが、一定の割合でEpCAM陽性細胞は維持されていた。一方、EpCAM陰性細胞からEpCAM陽性細胞への分化は認められなかった。これらの結果から、EpCAM発現ががん幹細胞形質の発現と相関することが示唆された。しかし、乳がんのがん幹細胞マーカーとして広く知られているCD24、CD44の発現についてはEpCAM発現との関連は認められなかった。 2. EpCAM陽性がん細胞の骨転移能: EpCAM発現と骨転移との関連について、マウス左心室内移植モデルを用い検討したところ、EpCAM陽性細胞で骨転移形成の著明な促進が認められた。この結果をさらに検証するために、セルソーターによる分離を行っていない親細胞を移植し、2週後に骨髄を回収し、骨転移がん細胞のEpCAM発現をフローサイトメトリーにて検討した結果、転移細胞では親細胞と比較してEpCAM陽性細胞の割合が高いことが示された。これらの結果から、EpCAM陽性細胞が陰性細胞と比較して高い骨転移能を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って実験を行い、計画の目標はほぼ達成されたと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、EpCAM強制発現細胞株を樹立し、その性状解析をin vitroおよびin vivoにて行う。また、その結果を今までに行ってきた分離したEpCAM低/高発現がん細胞を用いた実験結果と比較検討する。さらに、EpCAM発現による骨転移亢進メカニズムを明らかにするために細胞内シグナルについての検討を合わせて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、ほぼ予定通りに実験を行い、それに必要な消耗品の購入や旅費による支出を行ったが、消耗品購入時の割引により若干の繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度である平成29年度の研究費は、繰り越し分も含め、上記機器使用料の支払いのほか、充実した動物実験を行うための十分数の動物の確保、細胞の分離、培養、調整、解析に必要な細胞培養関連用品・試薬、分子細分子細胞生物学実験試薬の購入、およびにFluorescence-Activated Cell Sortor(FACS)の機器使用料に充てる予定である。
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