研究課題/領域番号 |
15K11094
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
猪俣 恵 朝日大学, 歯学部, 講師 (40553798)
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研究分担者 |
村上 幸孝 朝日大学, 歯学部, 教授 (60239506)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | OmpA様蛋白質 / 糖修飾 / 細胞付着・刺激性 / 血清抵抗性 / 歯周病関連細菌 / Tannerella forsythia / Porphyromonas gingivalis |
研究実績の概要 |
歯周病関連細菌はOmpA様蛋白質を有している。OmpA様蛋白質は主要外膜蛋白質であることは分かっているが、その性質や宿主に対する病原性については明らかにされていない。本研究では、歯周病関連細菌の有するOmpA様蛋白質の宿主に対する病原性を調べることを目的としている。前年度までに、歯周病関連細菌のうち、特にTannerella forsythiaに着目し、同菌の有するOmpA様蛋白質の宿主に対する病原性について解析した。今年度は、歯周病関連細菌であるPorphyromonas gingivalisに着目し、同菌の有するOmpA様蛋白質が血清抵抗性に関与することを見出した。OmpA様蛋白質を欠失した場合には溶菌しLPSなどの菌体成分が放出され、その結果ヒト歯肉線維芽細胞、血管内皮細胞やマウスマクロファージにおける細胞応答を増強させることを見出した。 P. gingivalisなどの歯周病関連細菌の棲息する歯肉溝滲出液中には、約70%の血清が含まれる。OmpA様蛋白質が血清による殺菌およびLPS-Toll様受容体4を介した宿主細胞の活性化を抑制することで、歯肉溝滲出液の血清を含む歯肉溝滲出液中での生存を可能にしていることが考えられた。以上の内容を学会で報告するとともに、以上の内容をまとめた論文を投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯周病関連細菌であるP.gingivalisの有するOmpA様蛋白質が血清抵抗性に関与し、宿主細胞への刺激性にも影響を及ぼすことを明らかにしたため。さらにこれらの成果を現在論文として公表予定(投稿中)のため。
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今後の研究の推進方策 |
歯周病関連細菌が血清を含む歯肉溝滲出液中で生存するには、OmpA様蛋白質の血清抵抗性が必須であることが考えられた。今後の研究によって、OmpA様蛋白質の血清抵抗性の詳細なメカニズム、さらにはOmpA様蛋白質欠損株の殺傷に関与する血清中の成分についてさらなる解析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間中の2016年11月から2017年9月迄米国に留学をしたため。帰国後の今年度は本研究目的をより精緻に達成するため、得た結果の再現、追加実験の実施、成果発表や論文投稿を行う。
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