研究課題/領域番号 |
15K11098
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
中野 芳朗 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30360267)
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研究分担者 |
玉置 知子 (橋本知子) 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10172868)
山西 清文 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10182586)
岸本 裕充 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30291818)
野口 一馬 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50309473)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Hedgehog / 角化嚢胞性歯原性腫瘍(KCOT) / PTCH1 / 分化 / 基底細胞癌 |
研究実績の概要 |
1. 角化嚢胞性歯原性腫瘍(KCOT)由来細胞(NS11, KCOT2)をhydrogel内で3次元培養することに成功した。培養細胞はKCOTの特徴である錯角化がみられた。 2. NS11細胞における遺伝子発現及びこの細胞をカルシウムの濃度を変えた時に見られる遺伝子発現の変化を網羅的に調べるためRNA-seq解析を行った。その結果、Hedgehog系の顕著な亢進は認められなかった。また表皮の分化に関与する遺伝子群が、カルシウム濃度をあげる事により顕著な上昇及び減少が見られた。これらのデータから、樹立したKCOT細胞はBasal cell layerの遺伝子発現パターンをとり、カルシウムによる誘導によりSpinous layer、Granular layer、Cornified layerで発現が認められている遺伝子の発現が顕著に増加する一方、Basal cell layerでの発現が認められている遺伝子の発現は増加するものもあるがその増加の割合はそれ以外に較べると低いことが判明した。これらのデータはwesternで調べたマーカー遺伝子の変動と一致した。 3. Gorlin症候群で発症する腫瘍の一つに基底細胞癌(BCC)がある。欧米ではBCC発症の頻度が高いが日本人ではそれほどは高くない。今回日本人の散発性なBCCの解析によりhedgehogのtransducer蛋白であるSmoothened (SMO)のW535L変異を2検体で見出した。この変異はSMOの悪性変異として最も知られている変異である。また現在このBCCにおけるPTCH1遺伝子の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KCOT細胞に関してはhydrogelによりほぼ3次元的にKCOTを再現出来そうな見通しが出来た。またRNA-seqの解析により今まで一つ一つのタンパクについてwesternで解析していたが、一気に遺伝子発現の概要が得られた事によりKCOT細胞そのものの由来が明らかにできる可能性が高まった。また新たにBCCの解析が可能になりSMOの変異の同定ができた。KCOTは良性腫瘍でBCCは悪性腫瘍なので、今後Gorlin症候群の同一患者由来のKCOT及びBCCを解析する下地ができたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1. KCOT2細胞株に関しても同様にRNA-seq解析を行う。この解析により2種のKCOT細胞を解析することになり、遺伝子発現の共通性と同時に異なる点が明らかに出来ると考えられる。特にKCOT2細胞はPTCH1の遺伝子機能が欠損している事が判明しているので、その違いが遺伝子発現、カルシウムに対する反応性にどう違いをもたらしているかを調べていく事によってPTCH1蛋白機能の本質に迫る事ができるのではと期待している。 2. 遺伝子発現解析によりKCOT細胞株は、カルシウムにより、表皮におけるbasal cell layer状態からより分化した細胞状態へと分化していく事が判明した。そこでHydrogel中で3次元構築された細胞塊を用いて、より詳細な3次元的な構造や遺伝子発現を電顕や抗体染色により行うことにより明らかにしていく。 3. BCC及びKCOTに関しては新規の試料が得られ次第PTCH1及びSMOの解析をさらに続ける。 4. RNA-seqのデータ解析を進め、KCOTの良性腫瘍状態に関与している遺伝子の同定を試みる。RNA-seqでは発現している遺伝子における変異や特異的転写産物などの解析も行われているので、今後KCOT2のデータが得られ次第、2つを合わせて、良性腫瘍化に関与する可能性のある遺伝子の探索に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNA-seqの解析委託の支払い予定が次年度になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額はRNA-seq解析費用として使用する。
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