研究課題/領域番号 |
15K11101
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
奥山 克史 朝日大学, 歯学部, 講師 (00322818)
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研究分担者 |
玉置 幸道 朝日大学, 歯学部, 教授 (80197566)
松田 康裕 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (50431317)
星加 修平 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40581682)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | フッ素 / ハイドロキシアパタイト / XRD / FTIR / フルオロアパタイト |
研究実績の概要 |
フッ化物を応用した際の歯質へのフッ素浸透を多角的に解析する目的で、ハイドロキシアパタイト粉末を各種フッ素濃度に調整した再石灰化溶液(pH: 7.0)に浸漬し、その後X線回折(XRD)やフーリエ変換赤外線分光(FTIR)で分析した。同様にフルオロアパタイト粉末についても分析した。その結果、XRDでは(211)や(300)を示すピークの位置が、ハイドロキシアパタイトのものと比べフルオロアパタイトでは高角度にピークがシフトしていることが確認された。 フッ化物溶液で処理したアパタイトは、フルオロアパタイトほど顕著ではないものの、ピークの位置がわずかに高角度にシフトしていることが確認できた。FTIRではOH-を示す吸収の強さがハイドロキシアパタイトに比べフルオロアパタイトは弱く、高濃度のフッ素で処理したアパタイトでも、弱い吸収を認めた。このことより、フッ素処理を行うことで、OH-の一部がF-に置換されていることが示唆された。 さらにアパタイトに取り込まれたフッ素の動態を確認する目的で、フッ素処理後のアパタイトを水酸化カリウム(KOH)に浸漬することで、フルオロアパタイトのみを取り出し、処理濃度におけるフルオロアパタイト生成の違いを評価した。その結果、処理溶液のフッ素濃度が高くなるにつれ、アパタイトに取り込まれたフッ素濃度は大きくなるが、フルオロアパタイトに置換されたアパタイトの割合が小さくなることを確認した。このことからフルオロアパタイトに置換されるために供給されるフッ素量(濃度)にある一定の関係があるのではと推測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フッ化物応用によるハイドロキシアパタイトの変化についてはだいぶ検討を行ってきたが、高崎量子応用研究所などでのPIGE/PIXEによる分析はほとんど行うことができなかった。これは所有する施設の都合(装置のメンテナンスなど)で必要なマシンタイムが確保できなかった事が原因ではあるが、今後の研究遂行を考えると、もう少し分析を行いたかった。また、電子顕微鏡による観察も行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
1.ハイドロキシアパタイトへのフッ素処理の結果をXRDやFTIRで示したが、電子顕微鏡での観察が必須であるので、走査型電顕(SEM)や透過型電顕(TEM)で観察を行う。また、フッ素処理の期間や処理液のpHによる違いなどを、前年度と同様の手法で検討する。 2.歯質へのフッ素浸透について、各種フッ化物含有材料やフッ素溶液による処理を行い、PIGE/PIXEで測定、分析する。 3.ハイドロキシアパタイトへのフッ化物処理による影響の分析として、リン酸化プルランを併用する効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の研究で、当初の予定よりも研究の進行が遅れており、次年度に研究を継続して行うことになったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に行うことになっていた、XPS分析の進行が遅れており、次年度も継続して行うことになったことから、次年度予定の費用に加え、XPS分析に関する消耗品の購入に充てることにする予定である。次年度は電子顕微鏡による観察やPIGE/PIXE分析に関する消耗品の購入や、成果発表のための学会参加費、旅費に経費を使用する予定である。
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