研究課題
30年度は効果的なフッ素適用を目指し、フッ化チタン溶液を歯質に適用させ、フッ素、カルシウム、チタンの浸透をPIXE/PIGE装置で測定、評価検討した。溶液の濃度が高いとフッ素やチタンの浸透、沈着が多いことが示された。また、溶液の濃度を変えずにpHを調整して、同様の実験を行った。その結果、pH4, 5, 6の3種の溶液間でフッ素の浸透や、残ったカルシウム量にも差を認めず、フッ素浸透ではpH1と6の間で差を認めなかったことから、弱い酸性度のフッ化チタン溶液でも、う蝕予防に有用な可能性が示唆された。期間全体を通して、まずフッ化物応用における歯質の構造変化を解析する目的で、エナメル質の構成要素であるハイドロキシアパタイト(HAP)にフッ化物処理を行い、XRDやFTIR分析を行った。その結果HAPのOH基の一部がFに置換されていることが確認された。またフッ化物処理の条件による取り込まれたフッ素の動態の違いを確認するため、フッ化物処理後のHAPをKOHで処理して、フルオロアパタイト(FAP)に置換したフッ素を測定した。その結果、取り込まれたフッ素濃度や、FAPに置換されたHAPの割合などが、フッ化物のpHや浸漬期間、フッ素濃度などに依存性があることが確認された。歯科材料からHAPおよび歯質へのフッ素の取り込みとFAPへの置換については、フッ素取り込み量は、材料から徐放されるフッ素量に対応していたが、FAPへの置換は材料により異なる傾向を示した。フッ化物の持続的停滞に関して、かねてから使用を考えていたリン酸化プルランに類似した、親水性ゲルを基材とした象牙質知覚過敏抑制剤による、歯質へのフッ素取り込みをマイクロPIXE/PIGE装置で分析を行った。その結果、従来の知覚過敏抑制剤と比較して有意に多いフッ素取り込みを認め、プルラン以外のゲルの使用による有用性が示唆された。
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International Journal of PIXE
巻: 27 ページ: 1-9
10.1142/S0129083518500018
QST Takasaki Annual Report 2017
巻: QST-M-16 ページ: 114-114