研究課題/領域番号 |
15K11107
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
サダル アリレザ 東京医科歯科大学, 国際交流センター, 非常勤講師 (20567755)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光干渉断層計 (OCT) / コンポジットレジン / 三次元 (3D) |
研究実績の概要 |
前年度は、光干渉断層計(OCT)を用いて歯質および修復物の二次元(2D)断層データを得て、申請者が以前開発したソフトウェアimageJにより2D断層画像上の輝度変化部を抽出し、脱灰層および修復物周囲ギャップ形成量の定量化を行った。 本年度は、OCTを用いて修復物および周囲歯質の三次元(3D)データを得て、ソフトウェアAmiraを用いて修復物周囲ギャップ形成量の3D定量解析の手法を新たに開発した。ギャップ形成のタイミングやパターンをリアルタイム観察し、後重合や残留応力による影響を即時的に記録することに成功した。これらの新たな成果を論文にまとめ、Journal of Dental Researchに採択された。 また、上記の新しい手法を用い、4mm深さ窩洞のバルクフィルコンポジットレジンによる一括充填時の3Dギャップ形成定量解析を行った。充填材料比較のみならず、重合修復応力緩和を期待し、繊維強化材Ribbond封入時のギャップ形成量の変化についても検討した。これらの成果は第95回International Association for Dental Researchにて口頭発表された。 上記のOCT3Dデータの再構築および定量解析手法を確立したことで、コンポジットレジンの体積重合収縮を3D視覚化および定量解析することにも成功した。さらに、バルクフィルコンポジットレジンの深さ方向における重合率の変化を、超微小硬さ試験及びラマン分光法にて確認を行い、修復物周囲ギャップ形成に関わる様々な要因を多角的に検討した。 3D的手法の確立から、OCT最大の利点である非破壊的、即時的な組織内部観察という特徴を、総体的な視覚化及び定量解析にも応用できたという点で、非常に有意義な成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
3D定量解析の確立は本研究計画時の予想を超え実現したもので、これは脱灰や修復物辺縁封鎖性の評価以外にも、体積収縮、歯質変形、亀裂の発生など様々な評価に応用できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に開発した3D的解析手法を活用し、酸暴露によるコンポジットレジン修復物周囲の脱灰層形成をより総体的に評価する予定である。脱灰層の組織依存的な進展が観察できると予想している。 また、コンポジットレジン修復欠陥の評価を、界面ギャップ形成だけでなく歯質/修復物変形や亀裂についても総合的に検討する予定である。さらに熱負荷・咬合圧負荷による影響についても検討し、より臨床に即した評価を目指す。
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