研究課題/領域番号 |
15K11108
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
岸川 隆蔵 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (50376745)
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研究分担者 |
保坂 啓一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80451946)
高橋 真広 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (20613920)
中島 正俊 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50272604)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 接着破壊 / 歯質接着性レジン / 高速度撮影 |
研究実績の概要 |
本研究は,既存の高速度カメラの撮影速度よりはるかに速い最高速度4.4 兆フレーム/秒の撮影法,すなわち超高速撮影技術(STAMP)を用いて,光学的時間空間制御による,歯質―レジン接着界面の破壊や接着材料の微視現象を観察することが目的である.また,接着機能性モノマーが歯質に浸透し樹脂含浸層が形成される瞬間など、接着歯学のダイナミクスを世界に先駆けて解明し、より信頼性の高い新しい接着修復マテリアルと接着修復技法を創成することも目的としている。これまで,象牙質へのボンディングレジン浸透の観察と接着破壊の観察について,光学的条件を検討し,試料作成方法を検討しながら,試料観察とイメージングを行った.薄切象牙質資料におけるボンディングレジンの動き,ならびにダイナミクスを観察することに成功した.本年度は,ツーステップセルフエッチング接着システムを用いて,微小引張接着試験中における,試料破壊の瞬間のイメージングを行い,亀裂の進展や亀裂発生部位の特定などの検討を行った.その結果,本来接着の弱点と考えられていた,歯質とボンディング層との接着界面で破壊が起こるのではなく,ボンディング層内部,もしくはボンディング層とコンポジットレジンとの接合界面で破壊が起こっていることが判明した.このような知見から,さらに物性の高いボンディング層が必要であること,および,重合開始材などの触媒系の改良により重合率を向上させることによって,ボンディング層とコンポジットレジンの共重合を向上させる必要性があることが判明した.次年度はさらに詳細な接着メカニズムのダイナミクスを解明していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接着性レジンを用いて生体である歯質と生体材料であるコンポジットレジンとの接着試料を作製し,応力が負荷された状態における接着破壊の様子を,ハイスピードカメラを用いた高速度撮影,STAMPを用いた超高速度撮影を用いて観察し,微視現象の詳細な検討を行っている.STAMP技術については,共同研究者とともに研究を進めている.今後は,更なる高速度撮影および,接着性モノマーが生体に浸透する瞬間などの観察などを行い,接着歯学の課題の解明を続ける.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,これまでのハイスピードカメラを用いた高速度撮影,そしてSTAMP技法を始めとした超高速度撮影をさらに発展させ,接着システムが歯に浸透する瞬間の観察の成功を目指し,接着メカニズムの解明する.また,あたらしく紹介されているFracture Toughness Approach中の接着界面の挙動解析についても微視挙動の可視化をめざしプロジェクトを展開していくつもりである.
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね計画進捗状況に応じた使用額となっているが,比較的高額な高速度撮影装置の代わりに,レンタルによる装置使用をけんとうしているため
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次年度使用額の使用計画 |
より効率的な経費使用のため,購入とレンタルをバランスよく使い分けていく
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