研究課題/領域番号 |
15K11120
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柴田 恭明 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 講師 (80253673)
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研究分担者 |
池田 通 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00211029)
中島 和慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (40707246)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Angiopoietin-1 / Tie2 / 象牙芽細胞 / エナメル器 / 細胞単離 |
研究実績の概要 |
象牙芽細胞回収効率が悪かったための対応として、1. 硬組織形成前の、胎性18日目または新生仔マウスの歯胚を利用する。2. EDTAにより回収した歯乳頭(Dev. Biol. 82:371-381, 1981) からの象牙芽細胞回収、3. Laminin 受容体(integrinBeta3(IntB3))の利用、を試した。1. 新生仔マウス下顎第1大臼歯歯冠から機械的に剥離・回収した歯胚をコラゲナーゼで消化した細胞群は、フローサイトメトリー(FCM)解析では象牙芽細胞分画はこれまでの0.5% から3% へと上昇したものの、磁気ビーズによる回収後のRNA の質は良好でなかった。さらに、3. 象牙芽細胞で歯髄内では特異的に発現が報告されているIntB3 であるが、Tie2 との共陽性細胞分画は0.1% 以下であり、利用できないことが明らかになった。一方、2. 胎生18日目マウス歯胚にEDTA を作用させ、エナメル器から剥離した歯髄から回収されたTie2 陽性細胞分画は5%を超えており、現在RNAの高品質化を試みている。 回収された象牙芽細胞分画(Tie2+)の培養は可能ではあったが、2週までに象牙芽細胞マーカーであるDSPP やDMP-1 の発現が消失した。一方、Tie2+ をTie2- と共培養し、さらにTie2 抗体ビーズにより回収した象牙芽細胞群では、象牙芽細胞マーカーの発現は2週後も維持されており、象牙芽細胞の分化維持には歯髄の微小環境が必須であることが示された。 さらにわれわれはAngiopoietin-1 の免疫染色において、胎生18日目のエナメル器での発現を見出した。そこで象牙芽細胞単離を試みる一方で、Angiopoietin-1 がエナメル器への内皮細胞の浸潤を誘導する可能性を現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的には可能である象牙芽細胞単離にことのほか手間取ったことがやや遅延した原因であったが現在ではそれも解消できつつある。また、純化された象牙芽細胞の分化維持には、歯髄細胞から構成される微小環境が必要であることが培養系で明らかにされたことは、極めて重要な所見である。
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今後の研究の推進方策 |
純化された象牙芽細胞が十分量が回収され、培養可能となったため、今後の研究は大きく進捗すると想定される。RNA の質が高品質化されることにより、網羅的解析も期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
回収した細胞のRNA の品質が低かったため、網羅的解析を先送りした。
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次年度使用額の使用計画 |
問題も解消しつつあり、次年度に網羅的解析を実行予定である。
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