研究課題/領域番号 |
15K11124
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
伊藤 修一 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (50382495)
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研究分担者 |
飯嶋 雅弘 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (20305915)
斎藤 隆史 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (40265070)
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 接着性モノマー / 象牙質石灰化 / バイオアクティブ材料 |
研究実績の概要 |
象牙質再石灰化能と接着能及び長期耐久性を兼ね備えたバイオアクティブ修復材の開発を行うことを目的として研究を行った.まず.新規接着性モノマーの合成及び試作ボンディング材および修復材料の作製を行った.攪拌装置,冷却管,温度計および滴下ロートを取り付けた反応装置に4-METを入れ,さらにエタノールを添加し冷却しながら攪拌する.この溶液に2モルのMDPに対して1モルの水酸化カルシウム水溶液を滴下し,得られる試料を濃縮した後,得られた白色の固体を室温で真空乾燥する.これを遊星ボールミルでさらに粉砕し,#280篩で分級する.この後,生成物のNMR分析および元素分析を行い同定する.また,以前に作製した4-MET-Caと新たに作製するMDP-Caの配合量を変えた修復材料を作製した.ワンステップボンディング材に4-MET-Ca, MDP, 及び4-MET-Ca, MDPの配合量を変えたものを試作した.その後.通法に従い.象牙質に対する接着強さをマイクロテンサイル試験にて評価を行った.また,微小引張り強さの測定後の破断面をSEM(S-3500N,日立)にて観察し,接着界面の破壊様式を分析した. 微小引張り試験において,全て試料間で有意差は認められなかった.しかしながら,破断面の観察において,MDP含有の試料はコンポジットレジンでの凝集破壊が観察された.このことから,4-METAとMDPの相互作用により,象牙質接着界面に影響を及ぼしていることが示唆された.また.試作ボンディング材の硬化体を作製後.1週間水中保管し溶出液を作製した.この溶出液中に脱灰象牙質を2ヶ月間保管し.TEM観察にて.コラーゲンに対する影響を評価した.コントロールと比較して.コラーゲンの加水分解を抑制する像が観察されたことから.新規接着性モノマーが.有機質に対して影響を与える事が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考えられるのが、新規接着性モノマーの配合および試作ボンディング材の作製に時間を要したため、若干ではあるが、象牙質コラーゲンに対する影響について検討する時間が少ないと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度試作したボンディング材を用いて象牙質コラーゲンへの浸透性の検討する。 被着モデル系として,試作ボンディング材,修復材とⅠ型コラーゲンを用いて熱分析を行い,モノマーの浸透性とコラーゲン高次構造の関連性について検討を行う. また、試作したボンディング材を用いて象牙質接着界面の超微小硬さの測定を行い、象牙質・樹脂含浸層・アドヒーシブレジンの移行部の硬さ,相対ヤング率の測定を行う.これらにより、象牙質接着界面における評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規接着性モノマーが、象牙質コラーゲンの加水分解に与える影響を評価する際のヒドロキシプロリンを測定するキットが、想定していたキット数より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度においては、象牙質コラーゲンへの浸透性の検討を行う予定としている。熱分析装置を用いた象牙質コラーゲンへの影響を評価するため、試料となる市販されているI型コラーゲンの購入や、象牙質試料を作製するための、アイソメッドブレードなどの購入が必要である。 また、象牙質接着界面の超微小硬さの測定をナノインデンテーション法を用いて評価する。その試料作製のために、プラスチック器具や、エポキシ樹脂などの購入が必要でる。 また、これまでの研究成果を、国内・海外で発表するための旅費が必要である。
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