研究課題/領域番号 |
15K11128
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
長谷川 篤司 昭和大学, 歯学部, 教授 (10180861)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯科用内視鏡 / 歯内治療 / 青色励起光 / 励起蛍光 / 固定治具 / 罹患象牙質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は青色励起光で根管内の感染歯質や汚染物質を赤く発光させ、ファイバースコープで術野(根管内)を視認しながら発光部位を選択的に除去できる歯科用内視鏡システムを開発することであった。 平成27年度には、市販の歯科用内視鏡などを参考に、根管治療環境に応用するための有効な解像度として8000画素以上が好ましいことを見出した。また、青色励起光(405nm)が根管内感染歯質を視認することに有効である画像を得ることに成功しており、ファイバースコープ先端を固定したまま、青色励起光と通常の白色光を切り替えられることの有効性も確認できた。さらに、臨床(治療)に応用するには、ファイバースコープ先端が可及的に細く、直角に近く屈曲可能であることが求められるが、上記要件を満たす最細のグラスファイバーと屈曲の可能性の限界(これ以上屈曲するとグラスファイバーを傷つける)の形状を概ね把握できた。以上の知見を総合して初年度中に青色励起光を応用した歯科用内視鏡システムの試作第1号機を開発することに成功している。 これに加えて、治療時にスコープ先端部を口腔内で安定させる内視鏡固定用治具の開発の検討も並行して行っており、すでにスコープと他の治療器具が術野で共存・動作できる(器具同志の占有空間と位置関係、根管内の切削片・塵廃・水分の処理と影響など)ように配慮した内視鏡固定用治具の試作第1号機を日本歯科保存学会にて発表報告している。 なお、次年度以降の最優先の目標は、青色励起光の歯科用内視鏡システムを用いた歯内治療の標準的臨床術式を決定することと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度(平成27年度)に、歯科用内視鏡のファイバースコープ部の形状の要件などをまとめることができ、工業的に製作できる有効な形状で試作第1号機を試作するに至っている。 また、第1号機は青色励起光だけでなく、白色光にも切り替えられるように設計されており、歯内治療における使用範囲の拡大が見込まれている。 さらに、次年度に計画されていた、スコープ先端部を口腔内で安定させる内視鏡固定用治具の試作第1号機をも製作できており当初の計画より著しく進展できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、青色励起光の歯科用内視鏡システムを用いた歯内治療の標準的臨床術式を様々な治療状況を想定して決定することを最優先にする予定である。 励起蛍光イメージングにおける視認性向上も重要な課題であるので、引き続き、根管内感染歯質の蛍光励起を増強するラベリング剤の検討や透過波長を制御する光学的フィルタ、認識画像の色彩を制御するPCソフトの開発も検討することとしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度(平成27年度)は試作第1号機の作製を主として行った。 次年度は、この試作機を使用したin vitro研究を行うために次年度使用額を執行する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
in vitroでの研究として、歯内治療を行うための歯科消耗器具や薬品を中心に、ガラス(プラスティック)器具、電子部品、PC関連機材、事務用品を含む消耗品(約120万円)、試作内視鏡システム第2号機(約170万円)、試作固定治具(約30万円) 日本歯科保存学会(春季、秋季)、日本口腔診断学会への情報収集のための出張(年間3回約20万円)を予定している。
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