本研究の目的は、青色励起光で根管内の感染歯質や汚染物質を赤く蛍光発色させながら根管内に挿入されたファイバースコープで術野(根管内)内の蛍光発色部位とその範囲を正確に視認しながら、蛍光部位を選択的に除去できる歯科用内視鏡システムを開発することである。 平成29年度に、試作内視鏡システム第2号機の(WINDOW-8 からWINDOWS-10への)OS更新による不具合に対する対応に時間を費やしてしまったため、1年延長して本年度は、患者口腔内を想定したシミュレーションから、より実践的な臨床術式を確立した。 まず、チップ固定冶具2号機を固定した状態でラバーダムクランプを歯に設置し、ラバーダムを装着するために術式を一部変更した。次に、チップ固定冶具2号機にファイバースコープの先端チップを口腔内で緩みなく確実に固定できるように締め具(ネジ)形態を変更した。また、先端チップの観察範囲を調整する締め具(ネジ)形態をも変更して、新規チップ固定冶具3号機を試作した。 本年度実施した更新により、シミュレーター上ではあるが、開発した歯科用内視鏡システムをラバーダムとともに口腔内に装着して歯内治療の環境を作り、術野に合わせて観察範囲を調整して、根管内を観察しながら歯内治療を行う術式が完成できたと考えている。当然、この際の投下光は、通常の白色光と感染歯質の検出のための青色光に口腔外から変更可能である。 今後、口腔内で臨床症例を研究対象として、その有効性や精度を検討する研究に発展させていきたいと考えている。
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