研究課題/領域番号 |
15K11131
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
神尾 直人 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10508774)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヒト歯髄培養細胞 / カリクレイン / PAR-1 / COX-2 / 炎症 |
研究実績の概要 |
平成28年度の実施計画として、まずgelshift assayによるカリクレインのCOX-2産生シグナルにおける転写因子NFATc1の転写活性についての検索があった。しかしながらデータ収集に難航し、他のNFATサブタイプの動向も合わせて検索中である。また、gelshift以外の転写活性測定キットによる検索も検討中である。そちらは一度傾向の確認は済んでいるが、有意差の得られる状況ではないため、データ数を増やす必要はある。 プラスミン・カリクレイン・ブラジキニンによる相互作用の検索では現在のところ細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)の変化について検索しているが、現時点で相乗効果を確認できていない。しかしながら過去の報告ではそれより下流のシグナル伝達における相乗効果が期待できるため、継続してCOX-2産生経路まで検索を行う。また、過去の報告同様に炎症性サイトカインとの相乗効果ではCOX-2 mRNA、タンパク質で確認できたことから、いずれのパターン、シグナル経路で効果が現れるのかを検索中である。また、PGE2量についてもELISA法にて計測を行う予定である。 同時に[Ca2+]i動態の変化の由来についての検索も行った。すなわち細胞膜上のカルシウムイオンチャネル阻害剤であるSKF96365の効果を検索した。その結果、小胞体からの放出というよりはむしろ細胞外からの流入によるものが大半である結果を得た。現在は追加として小胞体からのCa2+の放出に関与するIP3産生量の測定をELISA法にて検索を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
gelshift assayによるカリクレインのCOX-2産生シグナルにおける転写因子NFATc1の転写活性の検索に難航している。新規にはじめた手技なのでテクニカルエラーであるのか、実際の事象を反映しているのかの判断も思わしくない。シグナル伝達が明確な刺激タンパクを新規購入し、手技の精度の安定化を図る必要があるとも考えられる。また、炎症性サイトカインとの相乗効果による結果は期待できるデータが得られているが、プラスミン・カリクレイン・ブラジキニンによる細胞内カルシウムシグナル同士の相乗効果は得られていない。今後PKCシグナルとの相乗効果についても同時に検索して、データの得られるほうで進行する。 上記からやや遅れていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
gelshift assayによる検索だけでなく、転写活性測定キットを用いた検索も再検討する。そちらは一度傾向の確認は済んでいるが、有意差の得られる状況ではないため、データ数を増やす。同時にgel shiftはシグナル伝達が明確な刺激タンパクを新規購入し、手技の精度の安定化を図る。 また、細胞内カルシウムシグナルでの相乗効果が得られない場合として、当初計画書にも記載したprotein kinase Cの活性化剤を用いた相乗効果の検索をはじめ、データが得られる実験に方向転換する。PKCは生体内で幅広い役割を演じることが報告されており、他の刺激タンパク質との相乗効果が新規に発見される可能性もある。また、小胞体からのCa2+の放出に関与するIP3産生量の測定をELISA法にて検索を予定している。
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