研究課題/領域番号 |
15K11141
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
泉 利雄 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (40248547)
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研究分担者 |
丸田 道人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40507802)
畠山 純子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50374947)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生体活性ガラス / ストロンチウム / 歯内治療 / セメント / αTCP |
研究実績の概要 |
1.試作Sr含有BAGの創製 BAG (SiO2 53% CaO 20% Na2O 23% P2O5 4%) 中 CaOの75%をSrOに置換したもの・Sr75;CaOをすべてSrOに置換したもの・Sr100を溶融法で合成、粉砕し、ふるいを通して粒子径40μm以下の粉末を得た。 2.試作Sr-BAG・αTCP・γPGAセメントの検討 αTCP:Sr75あるいはSr100 を 重量比1:1、 2:1、 4:1で混和した粉末を作製し、5%γPGA+0.25mol/l Na2HPO4 と紛液比2で練和しディスク状の硬化体を作製した。ディスクの機械的強さを計測し、さらに硬化体を生理食塩水中に浸漬し経時的な形態変化を計測した。硬化体の機械的強度はグラスアイオノマーセメントより小さく、Sr75の硬化体は、いずれも生理食塩水に浸漬後崩壊傾向が認められた。Sr100の硬化体は重量比1:1の硬化体が生理食塩水中で崩壊しなかった。より強力に硬化する結合材の検討が必要になった。 3.試作Sr-BAG・αTCP・アルギン酸セメントの検討 αTCP:Sr100 を重量比1:1で混和した粉末に、重量比1:1となるようにアルギン酸ナトリウムを混和し、硫酸カルシウムを1%添加し精製水で練和し硬化体を得た。硬化体の機械的強度を測定したがグラスアイオノマーセメントより小さかった。 4.試作Sr-BAG・αTCP・硫酸カルシウムセメントの検討 αTCP:Sr100 を 重量比1:1で混和した粉末に、重量比1:1となるように硫酸カルシウムを混和し、精製水で連和し硬化体を得た。硬化体の機械的強度を測定したところ、グラスアイオノマーセメントと同程度の硬化体を得た。αTCPとSr100との比率でαTCPを減少させても硬化体の強度には変化がなく、硬化体は経時的に吸収されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SrBAGの硬組織形成促進作用を歯内治療用セメントに応用しようと考え、セメントの硬化機序としてαTCPとγPGAとの硬化反応を利用することを企画して実験を開始した。試作SrBAG・αTCP・γPGAセメントは、当初の予想どおり練和体の流動性は良好だったが、硬化体の機械的強度が低く、Sr75では生理食塩水中で徐々に崩壊していった。より強固に硬化する反応系を見出すため、「研究目的」に記載したように代替硬化反応としてアルギン酸ナトリウムとCaとの反応を試みた。その結果、機械的強度は向上したがまだ不十分でまたSrBAGの硬組織形成作用も認められなかった。そこで硫酸カルシウムと水による硬化反応を利用すると機械的強度がさらに向上し、さらに硫酸カルシウムによる硬化体が経時的に吸収されSrBAGの溶解を妨げないことが明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
硬化反応としては、硫酸カルシウムと水との反応が有効であることが明らかになったので、これをベースにし、28年度はαTCPとSr100との比率を変化させ、最も硬組織形成に適した組成を見出して、ラットの髄床底穿孔部の封鎖に用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、試作セメントを用いて動物実験を開始することになっていたが、試作セメント作製に時間がかかり、動物実験の開始が遅れてしまい次年度への繰越金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
試作セメントの作製(セメントの作製費、およびラットを用いた髄床底穿孔部封鎖材としての評価を行う。SD系Rat 9週齢 ♂ 左右上顎第一臼歯を33 1/2カーバイドバーで露髄させ冠部歯髄を除去し、1/4ラウンドバーを咬合面から2mmの深さで用い 髄床底に穿孔しMTA、試作セメント、酸化亜鉛ユージノールセメント各12匹ずつ 穿孔部を封鎖する。各12匹ずつ7日 2週 4週 8週後に屠殺し、EDTAで脱灰後 パラフィン切片標本を作製しHE染色を施す。(ラットの購入費・飼育費)(実験器材の費用)
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