研究課題/領域番号 |
15K11145
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笠原 紳 東北大学, 歯学研究科(研究院), 臨床教授 (70169407)
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研究分担者 |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30379078)
三浦 賞子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60431590)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジルコニア / CAD/CAM / 3次元有限要素法 / 破折 / 前向き臨床研究 |
研究実績の概要 |
フルジルコニア修復は強靱な物性が特徴であるが、近年破折を生じた症例が散見されるようになってきた。本研究ではより予知性の高いフルジルコニア修復の実現を目指し、ジルコニア延長ブリッジのフレーム形態の違いが構造体に及ぼす力学的影響を明らかにすることを目的とする。今回は3次元有限要素法を用いた応力解析を行った。 解析モデルは下顎大臼歯部遊離端欠損を想定し、下顎第一,第二小臼歯を支台歯とした延長ブリッジとした。4種類のフレーム形態(Design 1: スタンダード,Design 2: フレーム幅を頬舌的に1 mm拡大,Design 3: フレーム高さを応力集中近傍の咬合面側に0.5 mm拡大,Design 4: Design 2および3の併用)を準備した。フレーム材料はイットリア系ジルコニアセラミック(PFZ)と陶材焼付用金合金(PFM)を使用し、支台歯は真鍮製の金型を想定した。負荷条件は、ブリッジのポンティック咬合面遠心小窩相当部への1Nの垂直的荷重とし、線形静解析を用いて最大主応力および変位量を評価した。 解析の結果、連結部咬合面で発生した最大応力値は、PFZおよびPFMともにDesign 1で最も高い値を示し、以下Design 3 > Design 2 > Design 4の順に高い応力分布を認めた。変位分布では,全てのDesignで荷重部および連結部下部において大きな変位量を認め,PFZではDesign 3が、PFMではDesign 1が最も大きな値を示した。また、Design 1、2、4の最大変位は、PFMの方がPFZよりも大きくなったが、Design 3ではPFZの方が最大変位は大きくなった。今回の結果から、ジルコニアオールセラミック延長ブリッジにおいて、フレーム高さとフレーム幅を拡大したデザインは変位量が少ないため、陶材破折の防止に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始当初の予定よりも、フルジルコニア修復希望の患者数を得ることはできなかった。その理由の一つとして、ハイブリッドレジンCAD/CAM冠の健康保険収載が影響していると予想される。当院の総患者数は減少していないとみられるため、保険適応の歯冠色修復材料が導入されたことが主な理由と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、フルジルコニアクラウン・ブリッジを希望する患者のリクルートを続ける。すでにフルジルコニアクラウン・ブリッジを装着した患者について、装着後の予後調査を行う。また補綴装置の破折因子の解明のため、3次元有限要素法による応力解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりもフルジルコニアクラウン・ブリッジ希望の患者数が得られなかったため、補綴装置製作にかかる費用が少なかったためと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き患者のリクルートを行う。また材料学的見地から破折因子の探索を行うため、3次元有限要素法による応力解析を行う。
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