研究課題/領域番号 |
15K11148
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横山 政宣 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (20396500)
|
研究分担者 |
小川 徹 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (50372321)
神田 佳明 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (00709123)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30178644)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 歯学 / オッセオインテグレーション / インプラント / 骨粗鬆症 / PTH / 高周波振動刺激 |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症患者に対しても確実かつ効率的にインプラント治療を行うことを最終目的とし,本研究では整形外科領域で注目を集めている低強度・高周波振動刺激(Low magnitude and High Frequency: LMHF loading)の骨形成活性効果の歯科インプラント治療への応用,および高有病率の骨粗鬆症をターゲットとした新たな適応方法の開発である.具体的には,骨粗鬆症-インプラント埋入モデルにおける,1. LMHF loadingの局所応用の骨形成活性効果の確認と,最適刺激条件の詳細を解明する.2. LMHF loadingと骨粗鬆症の新規骨形成促進剤(PTH,活性型ビタミンD3)との併用による,インプラント周囲骨治癒およびオッセオインテグレーション獲得に対する相乗効果を検討することを目的とする. 昨年度は,ラット骨粗鬆症-脛骨インプラントモデル(OVXラット脛骨-インプラント埋入モデル)を用いて,LMHF loadingと骨粗鬆症薬であるBP製剤とPTHを用いて,インプラントオッセオインテグレーションやインプラント周囲骨へのそれぞれの効果,さらにはその併用効果について,インプラント除去トルク試験やμCT,組織学的・組織形態学的検討を行った。その結果,アレンドロネート(BP製剤)に比べ,PTH群において各パラメータにおいて有利な効果が認められ,また振動刺激との併用効果もPTHにおいて高くなる傾向が認められた。さらに、そのosteogenicな効果は、PTHは海綿骨に対し、LMHF刺激は皮質骨に対して効果が高く、その作用部位は異なることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り,昨年度は初年度に確立した動物実験モデル(OVXラット脛骨-インプラント埋入モデルの作製)にて,一連の動物実験を行った. OVXラットは,3群(生理食塩水 5ml/日,Ale:Alendronate 15μg/kg/日,PTH:parathyroid hormone, 40μg/kg/日)に分け,3週間,皮下投与した.その後,両側脛骨にチタン製インプラント(φ2mm×13mm)を埋入,翌日より投薬を再開,各群をさらに2群に分け,1方には所有の振動刺激装置にて加速度0.5G,周波数50Hz,刺激時間15分/日,週5日の条件で全身的な低強度高周波振動刺激を付与した.埋入後 1週および 4週にて屠殺し,片側脛骨は除去トルク試験に,対側はμCT画像解析および組織形態学的評価に供した.除去トルク試験では、治癒期間については4週,振動刺激については付与群が、薬剤についてはSaline,Aleと比較してPTH群で有意に高くなった.特にPTH+WBV群では,1週,4週ともに他群と比較して有意に高値を示した.μCT画像解析では、皮質骨では,4週群,振動刺激付与群で有意に高値を示した.海綿骨では,Saline,Aleと比較してPTH群で有意に高値を示した.組織形態学的評価では、BICは治癒期間,振動刺激の有無,投与薬剤の種類により有意差が認められた.BV/TVは治癒期間,投与薬剤の種類により有意差が認められた.いずれのパラメータにおいても,PTH群,特にPTH+WBV群で高値を示す傾向がみられた.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は,実験データ解析をより詳細に行い,振動刺激と薬剤による効果の特徴について理解を深めていく。また、その結果をもとに同動物実験モデルにて,活性型ビタミンDなど新規の薬剤についても,その効果およびLMHF loadingとの併用効果について検討を加える.
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は,当初計画していた今年度の実験が効率的に進行したことに伴う発生した未使用額であり,平成29年度の研究遂行により使用する予定である。
|
次年度使用額の使用計画 |
今年度の使用予定としては,追加の動物実験,組織試料作製,データ解析および論文制作にかかわる経費,また研究打ち合わせおよび研究成果発表旅費としても使用予定である.
|