研究課題/領域番号 |
15K11151
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 哲也 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60179231)
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研究分担者 |
大木 明子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10345225)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢者 / 嚥下 / 舌圧 / 舌接触補助床 / 摂食・嚥下障害 |
研究実績の概要 |
舌接触補助床(以下、PAP)の作用機序を明らかにすることを目的として、健常有歯顎者の咬合挙上による固有口腔の拡大から実験的に嚥下機能を低下させ、そこへPAPを想定した実験用口蓋床を装着させることで機能回復が図られるかを最大舌圧と嚥下時間の変化から検討した。被験者5名に、①10mm咬合挙上用スプリント装着時、②スプリント+PAP装着時、③いずれも非装着時の3条件で、簡易舌圧測定器を用いて舌の口蓋への最大接触圧を測定した。また、Electroglottograph及び筋電図を用いて、被験者に安静時から水10mlの嚥下を指示し、嚥下時間と筋活動量を測定した。さらに、3次元スキャナと画像解析ソフトによりPAPの形態を測定した。これらにより以下の結果が得られた。 1.スプリント装着によって最大舌圧は有意に低下し、おおよそ舌の機能を低下させることはできたが、PAP装着によって最大舌圧を回復させることにはならなかった。2.スプリント装着によって嚥下時間は有意に長くなった。次いで、PAP装着によって嚥下時間の短縮が認められたため、舌の動きをスムーズにさせたようにも思えるが、RMS比の結果から見ると、嚥下時に要する舌の活動量自体には変化がなかったと推察される。3.PAPの前頭断面における左右の厚みに関しては有意差が認められなかったため、おおよそ形態の差はないと考えられる。4.最大舌圧とPAPの形態、また、嚥下時間とPAPの形態に関連が認められたため、昨年の先行研究同様、舌機能とPAPの形態に関係性があると考えられる。5.PAPの形態は、厚みとは別に、元の口蓋の形態に大きく依存する傾向が認められた。 以上の結果から舌の接触圧が低下した者において、PAPを装着することで舌機能が有意に改善することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者の確保に時間がかかり予定総数に達していない。もともと個人差が大きな測定値であるため、被験者数が増えないと適切な分類分けが難しく分析ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
被験者数を増やすとともに、実験的PAPをこれまで各断面ごとに計測していたが、それらを3次元的に評価できるできるよう、PC画面上に構成するソフトウェアを導入し、PAPの3次元的平均モデルの製作をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金が必要なかったことと、それを併せて29年度において新たに実施を予定している実験的PAPの3次元的形態評価を行うために必要となる特別なソフトウエアの購入費を確保しておくため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験的PAPの3次元的形態評価用のソフトウェア(相同モデル、メディックエンジニアリング社)の購入に使用する
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