研究課題/領域番号 |
15K11152
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秀島 雅之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (50218723)
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研究分担者 |
西山 暁 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (40359675)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA) / 口腔内装置(OA;Oral Appliance / 赤外線センサー(Kinect) / 簡易睡眠検査 / PSG睡眠検査 / CPAP / 下顎前突型OA |
研究実績の概要 |
近年閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea: OSA)は,日中傾眠による仕事の能率低下,運転事故等で社会生活に支障を来すだけでなく,生活習慣病を悪化させることが知られており,社会的な認識も高まりつつある.我が国では重度のOSASには持続陽圧呼吸(Continuous Positive Airway Pressure; CPAP),軽度~中等度のOSASには口腔内装置(Oral Appliance: OA)が保険適用される.しかし重度のOSAにおいてもOAが有効な場合は多く,大がかりで圧迫感を伴うCPAPはコンプライアンスが低いため,OAを希望する患者は多い. また近年,睡眠検査の精度向上に伴い,米国睡眠学会でもOSAの診断に簡易型の睡眠検査の導入を認める傾向にある. 本研究では簡便で非接触の赤外線センサーを利用した計測装置を使って,無呼吸の状態を分析し,従来の下顎前突装置とは異なる,下顎と舌の両者を突出する装置を考案し,その効果を判定することを目的とする. 今年度は前年度に続いて前歯部歯列欠損を伴うOSAの被験者を選定し,簡易睡眠検査を行い,OSAの状態を分析した.また赤外線センサー(Kinect)を適用した非接触の計測器を用いて,健常者の睡眠時の呼吸のモニター,分析を行ったが,従来の赤外線センサーでは就寝中の水平位のヒトの自動認識は難しいことが分かった.そこで赤外線センサーに改良を加え,またセンサーの設置位置を工夫することで,水平位のヒトの動き,状態が計測可能となった.本装置は汎用の電気製品を一部利用しており,低コストでの製作も可能なため,計測・分析プログラムが開発され,コンパクトな形状で実用化すれば,画期的な睡眠検査法になるものと期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
睡眠検査には計器を自宅に持ち帰る簡易検査と,一泊入院して脳波,心電図等も調べるポリグラフ(PSG)検査とがあり,特に中等度のOSAでは臨床検査技師の立ち会いの下,精密なPSG検査が必要となる. しかし,時間と経費がかかるため,複数回の検査の実施は難しく,OA装着後の判定は簡易検査で行うことが多い.簡易検査は脳波を計測しないため,正確な睡眠を分析できず,ばらつきが多いのが現状である. 赤外線センサーでヒトの呼吸状態や脈動等を高精度で認識可能で,従来の指や鼻部にセンサーを付ける簡易装置と比較して睡眠時の拘束も無いため,より自然な睡眠状態の計測が可能となる.赤外線センサーは立位のヒトの動き,状態は自動認識可能であるが,就寝中で水平位のヒトを自動認識するのは難しかった.そこで改良型の赤外線センサーを導入し,またセンサーの設置位置を工夫することで,水平位のヒトの動き,状態を計測可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
・水平位のヒトの動き,状態を赤外線センサー(Kinect),改良型赤外線センサーで自動認識し,呼吸状態,脈動を分析するプログラムの作成を行う. ・改良した赤外線センサー計測システムで,OSA症例の呼吸状態,脈動を計測し,簡易睡眠検査,PSG精密睡眠検査による呼吸,血液酸素飽和度の計測と比較し,検討する. ・前歯部欠損を伴うOSAS症例に下顎前突型OAと,下顎プレートに固定した舌前突型OAを装着し,その効果,違いを赤外線センサーと簡易検査で計測,分析する.
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の予算の一部を繰り越して,今年度の海外での研究経過報告,情報収集に備えたが,余りが生じたため次年度に補填した.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はKinectだけでなく,他の改良型赤外線センサーも導入して,水平位のヒトの動き,状態を自動認識するシステムを開発し,その経過を国内で開催の睡眠学会,睡眠歯科学会で発表,情報交換する予定である.
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