研究課題
セラミックスの接着には化学的結合は有効であるが,長期安定性を得るためには機械的嵌合力が不可欠である.フッ化水素酸は,シリカを主成分とするセラミック材料表面に微細凹凸構造を効果的に形成することが可能であるため,使用が推奨されている.シリカを主成分としないセラミック材料では,サンドブラスト処理が行われる.しかし,材料表面の微細凹凸構造が機能時にクラックを発生,伸展させる危険性があり,処理方法によってはセラミックスの靭性を低下させることが考えられる.本研究課題では,リン酸溶液あるいはフッ化水素酸溶液を用いたレーザーアシストエッチング法を確立するとともに,新規に合成したプライマーを用い,セラミックスに対する新たな接着システムを創製することを目的とした.リン酸水溶液とフッ化水素酸によるエッチング処理では,酸の種類によって効果の程度は異なるが,ガラスマトリックスがエッチングされることで深部に至る微細な気孔が形成された.サンドブラストでは表層浅層に微細凹凸構造が生じており,酸性溶液によるエッチングとは異なる効果が観察された.レジンセメントとの接着強さはフッ酸処理を行った場合が,プライマーの有無に関わらず大きなせん断接着強さを示した.リン酸処理とシランカップリング処理を併用した場合では,サンドブラスト処理に比べて有意に高い値接着強さを示したが,リン酸処理あるいはシランカップリング単独処理ではその効果は認められず,リン酸処理のみでは最も低い接着強さを示した.酢酸溶液による加水分解を行ったシランカップリング剤は,その添加量による差や材料による差を示さず,コントロールに比べて高い値を示した.
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