研究課題/領域番号 |
15K11160
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土井 一矢 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (80444686)
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研究分担者 |
岡崎 洋平 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 助教 (00706898)
日浅 恭 広島大学, 病院(歯), 講師 (60304432) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PTH / 骨粗鬆症 / 骨質 |
研究実績の概要 |
今年度はインテリジェント人工骨に用いる骨形成促進作用を示すポリリン酸およびPTHの作用を検討した結果,鎖長65ポリリン酸が骨芽細胞様細胞に対して,アルカリフォスファターゼ活性の上昇,アリザリンレッド染色による石灰化度の上昇を認め,骨形成促進作用を示した.また,PTH投与においても同様の骨形成促進効果を示した.これらの効果は作用機序が異なることからPositive controlとして用いたポリリン酸およびbFGF併用群は相乗効果を示し,その分化促進作用は同群が最も高い値を示した.これらより生体応用においても骨形成促進効果を期待できることが示唆された.次に,PTHの生体への作用を検討した.ステロイド性骨粗鬆症モデルを作成し,骨代謝活性低下を示す骨質低下モデル動物(ウサギ)に対して,PTHの間歇投与を1ヵ月行いその骨質改善効果を評価した.評価法としてはインプラント埋入時の安定性を埋入トルク値測定および共振周波分析測定によるインプラント安定係数を算出した.組織学的観察によりPTH群は骨梁の形成が密に行わており,インプラント埋入窩周囲の骨面積は有意に多かった.インプラント埋入時の初期固定の測定では,埋入トルク値およびインプラント安定係数はともにPTH群が有意に高い値を示した.これによりPTHの投与が骨形成を促進することが確認でき,インテリジェント人工骨に対しても相互的に作用する示唆が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H27年度は細胞実験臣を予定していたが,研究計画よりはやく結果を得ることができたため,予備実験としての動物実験を前倒しで行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
骨質低下を著しく引き起こすステロイド性骨粗鬆症モデルにて検討を行う.骨質低下に対して,PTHおよびインテリジェント人工骨を用い,その骨形成促進効果を検討する.前年度予備実験にて生体内での効果を確認していることから,想定する骨形成促進効果を確認できると考えている. 実験計画;動物20羽に卵巣摘出術(OVX)を行い,4週間メチルプレドニゾロンを投与し,ステロイド性骨粗鬆症モデルを作成する.動物の両側大腿骨に骨窩(直径:3 mm 深さ:5 mm)を2カ所形成,各骨移植材を埋入する.うち10羽にはPTHを4週間間歇投与を行い,他の10羽には生食水を同条件で投与する.埋入条件を下記に設定する.(1条件:n=5) ① 連通多孔性アパタイト+ PTH② ポリリン酸結合人工骨PTH ⇒PTH投与群 ③ 連通多孔性アパタイトのみ④ ポリリン酸結合人工骨のみ ⇒生食水投与群,とする.埋入から2および4週後,組織ブロックを採取,マイクロCT撮影後,脱灰標本を作製する.骨形成促進効果の評価として組織学的評価および組織形態計測学的評価を行う.
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