研究課題/領域番号 |
15K11168
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
柳田 廣明 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (20380925)
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研究分担者 |
田上 直美 長崎大学, 大学病院, 講師 (70231660)
村口 浩一 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (30295258)
嶺崎 良人 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 講師 (70157577)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ファイバー / 補強材 / 重合 / レジン |
研究実績の概要 |
本研究の目的はナノサイズ化したセルロースナノファイバーを歯科用高分子材料の補強添加剤としての応用を検討することである.複合化された歯冠色材料を用いた審美的修復・補綴治療は広く行われているが,強度・耐久性の点からは従来用いられている金属材料に及ばないのが実状である.様々な補強材についての検討が行われてきたが,未だ解決したとは言い難い.そこで植物由来のバイオマスマテリアルで将来性が高いナノサイズのセルロースファイバーに着目した.この材料は先んじて工業界で金属材料の代替としての応用検討が進んでいる.この材料を歯科材料の補強材として応用することでナノコンポジット化した材料の開発,所望の性質を有した材料の獲得を目標としている.ナノカーボン,ナノシリカなどの歯科応用は報告が多いが,セルロースナノファイバーの歯科応用の報告はまだない.本年度達成目標はセルロースナノファイバーの融解条件の設定である.ナノファイバーを形状によってスラリー,ペースト,ペレットの3種に大別,解繊度合を高,中,低度の3種の計6種準備した.それぞれの条件のファイバーをメタクリレートレジンに混和し,試験片を作製する.それぞれにおいての曲げ強さを測定する.このことで本研究における初期条件:適したファイバーサイズ,形状の設定を行う.比較対照として現在臨床応用されているガラスファイバーによるウレタン系コンポジットレジンの曲げ強さを測定する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においてメタクリレートレジンへのナノ材料の溶解がひとつの問題であった.セルロースナノファイバーは両親媒性のため溶解は問題はないと考えられたが,当初溶解作業に入ると比較的早期にゲル化を呈することが頻発し,条件設定に手間取った.このため溶解条件の設定と並行して比較対照の既成のコンポジットレジンとグラスファイバーによる重合条件の設定について検討した.セルロースナノファイバーの溶解条件設定に時間がかかることは研究計画である程度考慮は行っていたため,次年度引き続き対策案を加えて検討し,進行遅れを取り戻す予定としている.
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今後の研究の推進方策 |
27年度は初期条件設定に手間取ったが,研究計画でもその可能性は示唆しており対策案も立案済みである.28年度は対策案として計画していた溶解温度の変更,溶媒の変更の2つも加えて検討し,早期に初期条件を設定する.並行して研究計画の予定通りに,ナノファイバーに対する化学的表面修飾の検討を行う.初期条件を決定した後,修飾を施したファイバーによる試料作成を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度にナノファイバーの溶解初期条件の設定が遅れたことにより,ナノファイバー,溶解材料の購入量が予定より少なかったことが大きな要因である.
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次年度使用額の使用計画 |
28年度も引き続き初期条件検討を行う.さらに研究計画に沿って対策案として溶解温度変更,溶媒変更を予定する.そのためナノファイバー,新規溶媒,温度層の購入として次年度使用を行う.
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