研究課題/領域番号 |
15K11171
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
島崎 伸子 岩手医科大学, 歯学部, 研究員 (30337258)
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研究分担者 |
後藤 知子 東北大学, 農学研究科, 助教 (00342783)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科, 教授 (10125560)
佐藤 しづ子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60225274)
駒井 三千夫 東北大学, 農学研究科, 教授 (80143022)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 味覚障害 / 亜鉛 / 唾液 / 高齢者 / 炭酸脱水酵素 / イムノクロマト / 味覚 / POCT |
研究実績の概要 |
緒言:耳下腺唾液中の37kDa亜鉛結合タンパク質である炭酸脱水酵素(CA)VI型(Gustin)が味覚機能に関与するとの報告に基づき、我々はELISAによるCA VI濃度を検出する特異的方法を確立してきた。しかし一方、医療現場では迅速な治療方針決定が求められるものの、血清亜鉛値測定やELISAは時間を要する。そのため、味覚障害のスクリーニング法として炭酸脱水酵素VI型ポリクローナル抗体を用いたイムノクロマト試薬による体外診断薬の開発を目的とし、唾液に対する反応性試験、イムノクロマト試薬測定値と血清亜鉛値との相関について検討してきた。本研究ではより特異性の高いモノクローナル抗体のイムノクロマト試薬に組み込む方法を試みた。方法:久保木式採唾器YK-Iを用い、30人の味覚機能障害患者の耳下腺開口部より酸味刺激下にて耳下腺唾液を吸引採取し、サンプルに供した。また4基本味(甘味、酸味、塩味、苦味)に対し、濾紙ディスク方法によるテーストディスク味覚検査を施行した。さらに、血清亜鉛値も計測した。唾液サンプル(2-100times)はPBS(-)にて希釈し、100μl量でサンプルを準備するために、金コロイド標識抗体溶液と各々混合した。金コロイド粒子は40 nm、メンブレンはHi-Flow 135、テストライン用抗体はヒトCA VIの合成ペプチドに対して作製した抗体(Rabbit-IgG)、コントロール用抗体はGoat anti-mouse IgG抗体を用いた。10分後に各々ライン発色の有無を確認した後、イムノクロマトリーダ(ニップンエンジニアリング)にて測定しCA6値と味覚ディスク値の相関関係を調べた。結果:軽度の正相関が、モノクローナル抗体によるイムノクロマト値と味覚ディスク値間で認められた。結論:今後この抗体を利用し、亜鉛欠乏性味覚障害の診断の根拠になりうることが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、味覚障害患者の耳下腺唾液をサンプルとしてテーストディスク値とポリクロ―ナル抗体、モノクローナル抗体によるイムノクロマト値との相関を調べることにより、スクリーニング法の有用性を検討した。 イムノクロマト法 すなわちPOCTは インフルエンザキッドのように 急速に普及し その役割や認識は高まっている。しかし味覚障害の判定においては、外科的侵襲や時間のかかる血液検査を行っているのが現状である。そこで、味覚障害患者の耳下腺唾液中タンパク質濃度の測定を行うことにより 味覚障害の診断のスクリーニングの一助になるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで行っているポリクロ―ナル抗体によるelisa法をモノクローナル抗体においても可能とし、さらにelisa法にて得られた耳下腺唾液中亜鉛結合タンパク質濃度とイムノクロマト法による同タンパク質濃度の相関を調べ、よりスクリーニング法の完成を目指すことが必須である。さらに、年齢層も広くカバーする必要がある。平成29年度は味と匂学会や国際学会にて報告を重ねていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度においては 既存の試料や抗体を主に使用したが、次年度は 方法の再構築や被験者数を増やし、拡張するために、助成金を使用する
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は モノクローナル抗体および確認のため ポリクロ―ナル抗体を中心に予算を使用し、イムノクロマト法を完成するべく、遂行する予定である
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