研究課題/領域番号 |
15K11173
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
堀田 康弘 昭和大学, 歯学部, 准教授 (00245804)
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研究分担者 |
中納 治久 昭和大学, 歯学部, 准教授 (80297035)
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 修復材料 / セラミックス / コンポジットレジン / CAD/CAM / 加工方法 |
研究実績の概要 |
平成26年4月より保険収載されたCAD/CAM冠に利用されるブロック材料が各社発売され、利用されているが、臨床的調査から破折や脱離が原因となる再製率が従来の全部鋳造冠に比べると多いとの研究報告もある。その理由の一つには、接着材料や技法に関する問題も考えられるが、一方でブロック材料そのものの強度変化に関する問題も考えられる。現在市販されているブロックの多くはカタログ上の曲げ強さで150 MPa以上を表記しており、200 MPaを超えるものもいくつかある。これらカタログに提示された数値の測定方法には、3点曲げ試験だけでなく2軸曲げ試験など統一された試験方法ではないため、相互の数値間での比較とはならない上、その殆どが乾燥状態での評価であるため、実際に口腔内で使用される状況での基準とはならない。そこで、まず本研究ではISO6872:2015の3点曲げ強さ測定法に従って、各材料のサーマルサイクル前後での曲げ強さを測定し、その変化について検討した。その結果、多くの試料では、試料切出し後24時間水中浸漬したものとサーマルサイクル20,000回後で有意差が出るほどの強度変化は見られなかったが、確実に強度が低下することが確認された。また、製品によってはISO6872-2015で規定されているクラス2セラミックスの基準を下回る物も見られたことから、単冠使用に限定されていても補綴失敗の原因となってしまうことが懸念された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハイブリッド型コンポジットレジンブロックの最適加工条件の検討に関しては,平成27年度は各種コンポジットレジンブロックを2種類の加工方式(ドライとウエット)と2種類の工具方式(切削と研削)の組み合わせで加工し,条件の変化による寸法変化の検討ならびに,機械的性質(3 点曲げ試験,ビッカース硬さ試験)の評価を行うことを目標に研究を進めてきた.しかし,平成26年4月のCAD/CAM冠保険収載後,利用可能なブロック材料が急激に増加しており,現在までに保険適用となったブロックは12社15種類となっている.実際に入手可能であったものだけでも11種類のブロックに対して,曲げ強さや硬さなどの基礎データ収集を行った.また,ブロック形状や寸法についても各社まちまちであったことから,試験片作製用の加工プログラム作成に時間がかかる結果となっている.しかし,材料自体の基礎データとしてサーマルサイクルによる劣化試験を行ったところ,コンポジットレジンブロック自体の強度に変化が現れることが確認されたことから,実際の加工においても,ドライとウエットなどの条件変化による違いが現れるであろうと期待される.一方で,半焼結性ジルコニアに関する検討においては,近年富に増加している透過型ジルコニアを組み合わせたグラデーションタイプのジルコニアなど加工材料は増加する一方である.さらに,高透過型として結晶タイプの違うブロックも利用されることから,こちらも基礎データの収集だけでなく,その分類方法についても十分に検討する必要がある.特にディスク形状のブランクの場合,材料費の負担が大きくなるため慎重に検討する必要があり,論文等を参照して基礎データの収集に努めている.生体に利用可能なバイオコンポジットの調査では現在,天然由来の材料をマトリックスに用いたバイオコンポジット3種をピックアップし,矯正用床材料との比較試験を行っている.
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今後の研究の推進方策 |
ハイブリッド型コンポジットレジンブロックの最適加工条件の検討に関しては,現在行っている基礎データをもとに影響の大きかった材料をピックアップし,実際の加工条件に変化をつけた場合の強度変化,ならびに,加工精度への影響を検討していく.ジルコニアの加工については,同一のブロック材料における加工条件の変化での機械的性質の変化と再現精度の違いについて検討する.また,その後の最終焼結の工程についても焼結プログラムの変化が,材料そのものの物性に与える影響と再現精度について検討していく.また,生体に利用可能なバイオコンポジットに関しては,材料面だけでなく積層加工に用いる機器についても,価格対費用効果から,また,メンテナンスやサポート状況などを考慮しながら,利用可能な機器をピックアップし臨床形態での再現精度について検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
本申請計画書作成時に計画していた学会発表のための旅費分が,学会開催時期の関係で本年度内での利用ができなかったため次年度使用額が発生してしまった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度内の研究が順調に進めば,国際学会(95th General Session & Exhibition of the IADR, March 22-25, San Francisco, 2017)への発表旅費として組み入れる予定である.
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