研究実績の概要 |
本研究課題の目標は歯科の臨床で用いられている各種デジタルデータ,CT画像装置による顎顔面三次元再構築データ,6自由度顎運動測定データ,顎顔面デジタルデータ,口腔内スキャナー等の歯列データを,歯科の必須アイテムである咬合器の用途を仮想空間上に再現したバーチャル咬合器により,検査,診断,補綴装置のCAD/CAMによる製作が可能なシステムの構築を図ることである.そこで,前年度までに各種スキャナーの精度検証の継続に加え,口腔内とCTの形態情報および6自由度下顎運動データの機能情報の統合を行った.本年度はVR咬合器を用いて精度の高い補綴装置を製作する為,さらに三次元スキャナーにおける計測能の検証を行った. スキャン対象とした機種は,模型スキャナ2機種と口腔内スキャナ2機種を用いた.被験体として,段差計測用基準モデル(セラ段差マスタ; Mitsutoyo社製)の300C(呼び段差300,100,50,20μm)と10C(呼び段差10,5,2,1μm)を計測した.スキャニングは各10回計測を行った.スキャニングにより機種毎に取得した三次元モデルのデータは,三次元解析ソフトを用いて解析した.その結果,各ゲージの平面度において模型スキャナは口腔内スキャナに比較して高い平面度を示した.また,平面の再現性に関して,模型スキャナ間では,段差計測値には,段差の大きさに関係なく有意差を認められなかった.模型スキャナと口腔内スキャナ間では段差計測値に有意差を認め,模型スキャナは口腔内スキャナより小さな段差を検出できることが示された.被験体形状の再現性では,口腔内スキャナは模型スキャナと比較し、三次元画像の歪みが大きいことが認められた.しかし,三次元画像のメッシュ構造(平面のポリゴン数と隅角部のポリゴン数)に関係は認められなかった.
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