研究課題
CTやMRIといった3次元画像診断機器の発達と，デジタルスキャナの進化により，術前の手術シミュレーションやその後の顎補綴装置の製作において，コンピュータ支援によって，より簡単で確実な方法が求められるようになっている．本研究課題の目的は，再建外科と歯科補綴分野の共同研究により，顎骨切除後の顎口腔の形態と機能の回復に寄与する手段を提供することであった．最終年度はこれまで検討してきた手法を基に，実際の下顎の区域切除の患者に対して，外科手術から補綴装置の製作のシミュレーションを行った．同意の得られた顎骨再建患者のCTデータを使用し，区域切除および腓骨による顎骨再建のシミュレーションを2種類の3次元画像解析ソフトを用いて行った．腓骨の分割する部位や下顎骨の形態に模して再建するシミュレーションにより，顔面の整容性から将来的に広範囲骨支持型補綴（インプラント）まで考慮した顎骨再建術の可能性を見出すことができた．2種類の画像解析ソフトでは同様のシミュレーション結果が得られ，それぞれの有用性が示された．また，顔面にまで欠損が及んだ顔面欠損患者に対しても，エピテーゼによる補綴治療を行うにあたって，顔面の表情変化をシミュレーションすることで，顔面皮膚の位置変化を数字で表す方法を見出した．このような3次元形態のシミュレーションによって，頭頸部腫瘍患者の術前カウンセリングや術前術後のチーム医療に，今回の研究は役立てることができたと考えられる．
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)
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