コラーゲン線維の狭小化が起こる0.2mM過酸化水素を作用させた,酸化ストレス下での培養骨芽細胞が発現するコラーゲン線維形成に関わる分子のmRNA量を何も作用させていない培養骨芽細胞のそれ(コントロール)と比較した.検証した分子は特異的な部位のリジン残基への糖添加酵素であるlysyl hydroxylase 1(LH1),LH2,LH3およびglycosyltransferase family 25 domain 1(GLT25D1)とコラーゲン分子間架橋形成の開始に関わる酵素であるlysyl oxidase(LOX),lysyl oxidase-like protein 1(LOXL-1),LOXL-2,LOXL-3およびLOXL-4である.リジン残基への糖添加に関わるLH1,LH2,LH3およびGLT25D1の遺伝子発現量はコントロールと酸化ストレス下で有意な相違を認めなかった.架橋形成に関わるLOXL-3およびLOXL-4の遺伝子発現量もコントロールと酸化ストレス下で有意な差はなく,また従来からの見識通り,LOXL-2の遺伝子発現はコントロールでも酸化ストレス下でも検出できなかった.しかし,LOXとLOXL-1ではmRNA量が酸化ストレス下で有意に大きな数値を示した.このことは,酸化ストレスによる骨基質の脆弱化に少なくともコラーゲン架橋形成の変化が関与する可能性を示唆するものである.
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